GDP実質GDPは伸びず、人口減が続く。「中間層」だったはずなのに、生活苦や将来の不安に悩む人は少なくない(撮影/写真映像部・松永卓也)

 1億総中流ははるか昔の話だ。気づけば、「失われた20年」は「30年」になり、賃金は増えず、物価は上がり、人は格差に疲弊している。もはや「1億総五里霧中」。多くの人が将来への不安を抱えている。AERA 2022年9月19日号の記事から。

「生活、苦しいです。ずっと『中の下の暮らしかな』と思ってきたけど、わからなくなりました。どうしておれは散髪に行く金もないんだ?と」

 こう話す会社員男性(58)は妻(60)と都内マンションで二人暮らし、子どもはいない。正社員として年収は約520万円、日本の平均年収以上だ。介護士の妻も扶養範囲内で約100万円の収入があるが、「出ていくお金ばかり」と嘆く。