投資家はある問題を抱えている。欧州中央銀行(ECB)が利上げし、ユーロ圏が徐々に景気後退に近づく中、逃避先が足りていない可能性があるのだ。市場ではこの1週間、ECBが9月上旬に発表した0.75ポイントの利上げを反映する動きが出始めている。ユーロ圏の銀行間で無担保翌日物資金を借り入れる際の金利に連動する「ユーロ短期金利(ESTR)」は16日、0.66%で終えた。利上げ前にはマイナス0.083%を付けていた。もっとも、他の短期金融市場ではこれに追随する動きが限られている。ドイツ国債を担保にした翌日物借り入れ金利はなおゼロ近辺にとどまっている。共通通貨ユーロにとって、これは根深い問題を反映したものであり、その問題は1年を通して悪化している。統一された米国債市場が投資家の逃避先や金融「配管」の基盤として機能している米国と異なり、ユーロ圏の19カ国は独自の国債を発行している。ドイツなど北欧諸国の国債は安全資産の役割を果たしているが、歴史的に財政規律を重視する国々でもあるため、流通する国債の数が需要に全く追い付いていない。