10月に施行される法改正で、いわゆる「パート収入の壁」に影響が生じる。そこで、今回の法改正を機に絶対知っておきたい「壁」に関する3大ポイントについてまとめた。「パート収入6つの壁」の一覧表や、働き損と働き得の分岐点を示したグラフなどの図解を交えて、複雑な制度を分かりやすくお伝えする。(ファイナンシャルプランナー〈CFP〉、生活設計塾クルー取締役 深田晶恵)
メディアの人間でも「複雑」な
「パート収入の壁」の早分かり術!
パートで働く人に大きな影響を与える法改正が10月から施行される。いわゆる「厚生年金の適用拡大」といわれる改正で、厚生労働省によると新たに厚生年金の加入対象となる人は約45万人増えるという。
法改正はニューストピックなので、このところメディアからの取材依頼が相次いでいる。「厚生年金の適用拡大」をニュースにするには、「パート収入の壁」の仕組みを知る必要がある。パート収入が一定額を超えると、税金や社会保険料が掛かるようになる「収入の壁」があり、その「壁」は複数存在する。
メディアの取材者にまず「壁」について解説すると、口をそろえて「制度が複雑」と言う。取材力に長けたメディアの人間でも「複雑」と感じるような制度――。そうであったとしても、パートタイマーとその配偶者は「パート収入の壁」の仕組みを絶対知っておくべきと断言する。なぜなら、「壁」はパート収入の「手取り」に直結するからだ。
今回は、「パート収入の壁」の早分かりポイントを解説しよう。
絶対知っておきたいポイントは次の三つ。
(1)複数ある「パート収入の壁」はどれが重要か
→気にすべきは「社会保険の壁」。「パート収入6つの壁」の一覧表で解説
(2)「壁」を越えたとき、「働き損」をしなくて済む年収とは
→ひと目で「手取り回復分岐点」がわかるグラフで解説
(3)「パート収入の壁」は越えるべきか、否か
→法改正の背景を知り、「壁越え」を検討する
早速、一つ目のポイント「複数ある『パート収入の壁』はどれが重要か」から見てみよう。