パート主婦が扶養・控除の「年収の壁」を気にせず働いた方がいい理由写真はイメージです Photo:PIXTA

専業主婦家庭と共働き家庭
公的年金で約2600万円超の差

 作家の橘玲氏の著作に『専業主婦は2億円損をする』というタイトルの本がある。これは夫婦が共に正社員で働いた場合と女性がその間、ずっと専業主婦であった場合と比べるとおよそ2億円の差が生じるということを意味している。

 いささか、ショッキングなタイトルではあるが、これは実際その通りのようである。「労働政策研究・研修機構」が2020年に出した統計によれば、大卒で正規社員として定年まで働いた場合の生涯賃金は2億6500万円、女性では約2億円となっている。

 もし夫だけしか働いていないのであれば、女性の生涯賃金が見込めないわけだから、まさに本のタイトル通りの数字だといえる。さらに生涯賃金の差に加えて、共働きの場合は将来さらに大きな差が出てくる。それは公的年金だ。

 厚生労働省が発表している2022年度のモデル年金額は月額21万9593円となっている。これは平均的な収入で40年間就業した場合に受け取り始める年金(老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金〈満額〉)の給付水準となっている。仮に65歳から90歳までに受給する年金額を累計すると、その額はおよそ6587万円となる。