最後のコツは自分をやる気にさせるためのコツはご褒美をうまく使うこと、「『それができたらこれができる』と言う」だ。脳の「報酬系を使う」ことになるが、これにもちょっとしたコツがある。健康経営の取り組みとして、1日1万歩を1カ月達成したら豪華ホテルの宿泊券がもらえるキャンペーンを行った企業があった。これを「ホテルの宿泊券をもらうぞ」と捉えるのは、イマイチな報酬系の使い方だ。実際、こう考えた人はホテルの宿泊券をもらった途端、歩数は激減してしまった。一方、「ホテルの宿泊券をもらえたら家族との時間が増やせる」と1つ先の目的を持った人は、翌月の歩数も変わらなかった。「家族との時間を増やせる」という1つ先の目標は、脳の中で他の行動とも関連付けがなされる。「生産性を高めて早く帰宅しよう」「休日に仕事を持ち越さないようにしよう」と、やる気が他の行動まで派生するのだ。1日1万歩は、たくさんの目標のうちの1つに過ぎないが、目標達成に有効だと判断されると継続される。

◆仕事や家事の「めんどくさい」を消す
◇中断されて集中力が途切れやすい人は

 仕事中に声をかけられて作業が中断すると、集中が途切れやすい。そんな人は作業が乗ってきたところで席を10秒立って席に戻ることで、集中力を鍛えることができる。

 作業を始めると代謝率を上げるアドレナリンが上昇する。そして、疲労してくると集中を維持するためにノルアドレナリンが上昇する。ここで声をかけられると、応答するために代謝率を上げなければならず負担がかかる。この負担は、グリア細胞の炎症反応によるもので、炎症を抑えるためにコルチゾールというホルモンが上昇したとき、私たちは「めんどくさい」と感じる。

 めんどくさいと感じるのは、声をかけられたせいではなく、そもそもノルアドレナリンが上昇していたことのほうにある。普段から作業を細かく区切り席を立つようにすると、ノルアドレナリンが上昇する場面自体を避けることができる。これならば、声をかけられても「めんどくさい」と感じないはずだ。

◇とにかく掃除がめんどくさいなら

 掃除がめんどうに感じるなら、10分間の掃除時間をつくってみよう。どれだけはかどっても10分以上はやらないというのがルールだ。

 風呂場の浴槽をできるだけきれいにしようとして10分経過した場合、掃除量やスピードという尺度で作業を評価することになる。すると、交感神経系が刺激され、高いエネルギーが発揮されるが、長続きはしない。エネルギー切れになれば「めんどくさい」が発生する。