コロナ禍、ウクライナ危機、急激なインフレ…。いつ何が起こるかわからない世界を生きる私たちは、どんな変化にも対応できるようにストレスへの対処法を知っておく必要がある。そこでおすすめしたいのが、『ストレスフリー超大全』。多くの人がストレスを感じる「人間関係」「プライベート」「仕事」「健康」「メンタル」の5つのテーマに対して科学的ファクトと対処するためのToDoがまとまった1冊だ。本書を執筆した精神科医の樺沢紫苑氏は、「ストレスは耐え忍ぶものではなく、しなやかに受け流すことが必要である」と言う。本記事では、本書をもとに現代人に必須のストレスの対処法をご紹介する。(構成:瀬田かおる)

精神科医が教える「一瞬で不安を打ち消すたった1つの方法」Photo: Adobe Stock

不安になるのは、なぜか?

 ストレスはマイナスなイメージがあるが、「いいストレス」もあると本書で樺沢氏は述べている。

適度なストレスは、脳の働きを活性化し、集中力を研ぎ澄まし、記憶力を高めます(P.3)

 しかし注意しなければいけないのは、「過剰なストレス」だ。

 仕事、人間関係、将来不安などで悩み続けると思考停止に陥る。そして、その状態で耐え忍んでしまうとストレスが蓄積していく。やがて、心身をむしばむ「悪いストレス」に変化してしまう。

 ではなぜ、人は不安になるのだろうか?

 人間が緊張、不安、恐怖の感情を持つと脳内物質の「ノルアドレナリン」が分泌される。

 このノルアドレナリンは「闘争か、競争か」の物質と言われている。この物質について、本書にはこう書かれている。

ノルアドレナリンが分泌されると脳が研ぎ澄まされ、集中力が高まり、どうすればいいのか一瞬で判断できるようになります(P.20)

 不安や恐怖といったピンチに対して、「さっさと行動しろ!」とノルアドレナリンは私たちに警告してくれているのだ。

「行動すること」が不安を減らす

 しかし、ノルアドレナリンの警告を無視し、思考停止になったまま行動を起こさないと、不安は増えていく。

 月曜日に大切な会議があるあなたは不安で不安で仕方がない。最悪の事態を想像してしまい、何もする気になれず家に閉じこもっていたのに、休んだ気がしない。不安は増すばかり。そんな日曜の夜を過ごしたことはないだろうか。

 しかし、不測の事態に備えた前向きな行動を起こしていたらどうなるか。

 前向きな行動を始めると、ノルアドレナリンという行動するためのガソリンが消費され、「行動によるガソリン消費→ノルアドレナリン減少→不安逓減→気持ちが楽になる」という流れが起こる。

 本書には、このように書かれている。

不安を消すことは簡単です。「行動する」ことです。いきなり不安が「ゼロ」にならないまでも、行動することで、不安は必ず軽くなります。「何もしない」と強まるだけなので、何かするだけで気分は変わります(P21)

「行動を細分化」して悩みを解決!

「行動する」ことが大切だとは分かった。しかし、不安や悩みを抱えた状況で前向きな行動ができないのも正直なところだ。

 それについて著者は、「すべての『行動』を細分化して行動のハードルを下げることで、苦しい状況でも『できる』ことを見つけられる」とし、3つの「確実に行動できる対処法(ToDo)」を提案している。

1.「話す」

 人に話してみたら、心がスッキリしたことはないだろうか。別にアドバイスがもらえなくてもいいのだ。

 悩みや不安について同じことをグルグル考え悶々としているより、不安な気持ちを放出することで少しばかりスッキリした気持ちが味わえるものだ。

 しかし注意しなければならないのは、不安や悩みを話すのも加減する必要があることだ。延々と聞かされる相手の身になり、不安や悩みは簡潔にまとめ、最後は前向きな言葉で終えることを心掛けたい。

2.「書く」

 不安や悩みというのは、ぼんやりとしたものになりがちだ。そんなときは、無心になって書き出してみよう。

「何について悩んでいるのか」「なぜ悩んでいるのか」を書き出すことで案外、不要な悩みだったことに気づくかもしれない。

 手を動かし紙に書き出すという行動は、自分を冷静に見つめ直す作業となる。

3.「体を動かす」

 何をしても不安が拭えないときは、思い切って体を動かしてみよう。じっと椅子に座って考え込んだり、不安だからと布団にくるまっていてもどんどん悪い方向に思考が傾いてしまうだけだ。

 それよりも、体を動かしたほうがいい。セロトニンが活性化し、脳が沈静化されてマイナスな思考が薄まってくれる。

 これら3つの行動をすべて取り入れる必要はない。その時の自分に合ったものをどれかひとつでもいいので試してみれば、ノルアドレナリンという不安物質が消費されて、心は軽やかになってくれる。

「悩みの正体」を知れば、解決への道が見える

 ここで改めて「悩み」とは何か考えてみよう。

 悩みとは、ある問題について、苦しみ、思い煩う状態であると著者は述べている。そして、その問題について「どうしたらいいのか」分からないから、人は悩むのだ。

 つまり、その問題の対処法や解決法を知り(Know)、それを実行する、行動する(Do)といった悩み解決のプロセスを踏めば解決への道が見えてくる。

 解決のプロセスに入る前に、自分が悩み不安に思っている問題を冷静に見つめ直すことが必要であり、それにはこれまでにお伝えしたように、書き出す作業が必要となってくる。

悩みの対処法を調べ、ToDoに落とし込む

 書き出した悩みについて、どのような対処法があるのか調べてみよう。調べると聞くと、ついインターネットで検索しがちだが、そこには誤った情報が書かれている場合があるので、必ず「本」で調べることが大切だ。

 悩みの対処法が書かれている本から「ToDo」を3つ探し、1~2週間は実行し進捗具合を評価する。本書には次のような評価の手順が書かれている。

評価の手順1
うまくいっていない理由を3つ書く
評価の手順2
うまくいっている点を3つ書く
評価の手順3
次のToDoを3つ書く(P.27)

 翌週は、手順3「次のToDo」を目標とする。これらを繰り返し習慣化することで、悩みはいつか消え去るというわけだ。

 このように、自分の悩みを書き出し、その対処法を調べ、やるべきことを知り、行動することを2~3週間行うだけで、悩みの解決にかなりの効果があるという。

 頭の中だけで考えているのではなく、行動することが大切なことは分かったが、それすらも億劫に感じるときもあるだろう。そんな時は、家から出て外の光を浴び、近所を散歩するだけでも気が晴れるものだ。

 もしくは、友人や知人、その他の助けてくれそうな人を頼ってみればいい。そうやって他人の力を上手に利用して、話を聞いてもらうことで、負のループから抜け出すことができるかもしれない。