コロナ禍や自粛生活などの「環境の変化」により、多くの人が将来への不安を抱え、「大きなストレス」を感じている。ストレスを溜め込みすぎると、体調を崩したり、うつなどのメンタル疾患に陥ってしまう。
そんな中、このコロナ禍に22万部を突破したベストセラー『ストレスフリー超大全』では、著者の精神科医・樺沢紫苑氏は、ストレスフリーに生きる方法を「科学的なファクト」と「今すぐできるToDo」で紹介している。「アドバイスを聞いてラクになった!」「今すべきことがわかった!」と、YouTubeでも大反響を集める樺沢氏。そのストレスフリーの本質に迫る。
命令しても誰もやらない
私は、「朝散歩がおすすめですよ」ということを啓蒙しているのですが、すぐに始める人は、ほぼいません。
特に患者さんの場合、「調子が悪いのでできません」「寝起きが悪いので無理です」などと言い訳をする人がほとんどです。
その場合、「朝散歩しなさい」と言えば言うほど、相手はやりません。やがて、「具合が悪いのにできるわけがない」と逆ギレされることもあります。では、どうすればいいのでしょうか?
「情報」を提供し続けよう
そんなときは、朝散歩の「メリット」をたくさん伝えるようにします。
「朝散歩すると、体内時計がリセットされて寝付きがよくなり、睡眠が深くなりますよ」
「セロトニンが活性化して、うつ病にものすごく効果がありますよ」
「他の患者さんは朝散歩をしはじめて、すごく調子がよくなりましたよ」
そんな話をするようにしています。
長い話も嫌がられるので、3分ほどしか話しません。すると、最初は「無理です」と言っていた患者さんでも、いつのまにか「朝散歩」をはじめていたりするのです。
伝え方のコツは、「(やるかやらないかは別として)こういう情報がありますよ」「こういう統計がありますよ」「こういう科学研究がありますよ」と客観的・中立的に伝えることです。
「あなたにやってほしい」という感情を込めてしまうとマイナスです。クールに、「こういう情報があります」と伝えるほど、相手の「感情的なハードル」が下がり、効果的です。
「片付けしない夫」が変わった
片づけをさせたい場合は、さりげなくリビングの机の上に「片づけ本」を置いておくのがよいでしょう。
このとき、「この本、絶対に読んだほうがいいよ」とは言わないことです。何ヶ月か置きっぱなしにしておくのが重要で、置いたことを忘れた頃に、相手はこっそりと本を読んでいたりするのです。
「やれ」と言うほど、相手はその行動をとりません。ただ、その行動をとると、「こういうメリットがありますよ」「こうやると楽にできますよ」という情報提供を根気よく続けると、忘れた頃に相手は動きはじめるのです。