コロナ禍、ウクライナ危機、急激なインフレ…。いつ何が起こるかわからない世界を生きる私たちは、どんな変化にも対応できるようにストレスへの対処法を知っておく必要がある。そこでおすすめしたいのが、『ストレスフリー超大全』。多くの人がストレスを感じる「人間関係」「プライベート」「仕事」「健康」「メンタル」の5つのテーマに対して科学的ファクトと対処するためのToDoがまとまった1冊だ。本書を執筆した精神科医の樺沢紫苑氏は、「ストレスは耐え忍ぶものではなく、しなやかに受け流すことが必要である」と言う。本記事では、本書をもとに「ストレスに悪影響を及ぼす”孤独”への対象法」をご紹介する。(構成:瀬田かおる)

【メンタル疾患と孤独の深い関係】<br />精神科医が教える「大人になってから友達を作る3つの方法」Photo: Adobe Stock

友達がいないとダメ人間なのか?

 人当たりが良く誰とでもすぐに仲良くなる同級生が、クラスに必ず1人はいたものだ。みんなから頼りにされ、友達もたくさんいて、毎日が楽しそう。

 そしてその同級生と自分を比べ、落ち込むのだ。自分は人から好かれるような魅力のない、ダメな人間なのかと。これについて、樺沢氏はこう述べている。

「自分は友達がたくさんいないからダメな人間」と落ち込む必要などないのです(P.100)

 そもそも友達は数ではない。たとえば、一緒にいると良い影響を与え合い、困ったときには助けてくれるのであれば友達といえるが、一緒にいても心が安まらないような友達ばかりいてもあなたの人生は豊かにはならない。

 著者は本書の中で、古代ギリシャの哲学者デモクリトスの言葉を紹介している。

多くの愚者を友とするより、一人の知者を友とするべきである(P.100)

 もしも、自分の人生がマイナスになるような友達がいたら、徐々に距離を取ることも必要だろう。

「仲間」から「友達」に発展させる

 一緒にいると気が休まり、お互いの人生にプラスとなるのが真の友人である。

 けれどそう聞くと、友達作りのハードルが上がり、人を見る目が厳しくなってしまいそうだ。

 しかし、友達を作らなければと身構える必要はない。まずは「仲間づくり」からはじめてみることをおすすめする。

「仲間」というのは、趣味、夢が同じ人が集まり、同じ方向に向かって協力し、応援し合う関係だ。目的のために集まり、活動をするので束縛しあうこともない。

 その中に気の合う人がいたとしたら、仲間から友達という関係性に発展する。この場合の友達は、趣味や夢が同じなので互いの人生に欠かすことのできない相手となるだろう。

心の扉は内側からしか開けられない

大人になったら友達なんてできない」といった思い込みはないだろうか。

 先にも述べたが「友達を作る」と考えるよりも、まず「仲間を作る」と考えたら、身構えることもない。もちろん何歳からでも友達や仲間作りは可能だ。

 しかし、あなたの心の扉が閉じていては、元も子もない。「話しかけないで」という雰囲気があなたから発せられていれば、それは他人に伝わってしまう。

 誰がそんな人に話しかけようとするだろうか。1人でいるのが気楽という考えもあるだろうが、友達や仲間がいた方が人生をより楽しめる。

何歳からでも友達ができる「3つの方法」

 心の扉を開き、ウェルカムな状態を作っておけば、話しかけやすい雰囲気ができる。どうせなら、もっと人生を楽しむチャンスを手にしよう。

 そしてその心の扉は内側からしか開けられない。つまり、あなた次第なのだ。

 これは、大人になってから友達を作るための前提条件になる。

 この「オープンマインド」な状態を作ったら、次の3つの方法を実践し、積極的に行動してみよう。

1. 笑顔で対応する

 笑顔で対応することは、相手を受け入れていることでもある。逆に、話しかけた相手が仏頂面だったらあなたはどう思うだろう。

 自分は拒絶されているのだろうかと悲しくなるのではないだろうか。

 マスクをしているときは注意が必要で、隠れているからと仏頂面で対応しても相手には分かるものだ。もちろん口元は見えないが、笑顔になると口角が上がり、目元が笑顔のそれになる。

 こちらが笑顔で対応すると、相手も笑顔になり気持ちの良いコミュニケーションをとることができる。

2. 自分から話しかけてみる

 相手から話しかけてくれるのを待つのではなく、自分から声を掛けてみよう。相手も声を掛けられて悪い気はしないはずだ。

 話の内容は他愛のないもので構わないが、できればお互いの共通点が見つかれば話のネタが尽きることはない。

 それにあまり話したことのない人より、顔を合わせれば声を掛けてくれる人に好意を持つのは自然の流れだ。

 話すのが苦手な人には少々面倒くさく感じるかもしれない。その場合は「今日は3人に声を掛ける」というノルマにしてしまうのも手だ。

 そのうち声を掛けるのが習慣になる頃には、あなたは「話しかけられやすい人」に変わっているかもしれない。

3. コミュニティに所属する

 歳を重ねてから「友達」を作ろうと思うとハードルが高いかもしれない。

 しかし、同じ趣味や目的を持ったもの同士が集まった「コミュニティ」に所属すると、その中から友達に発展する可能性もあるのだ。

 すでに趣味がある人はインターネットを使ってコミュニティを探してみよう。いきなり入会するのではなく、見学からでもいい。楽しくやれそうか雰囲気をみてみよう。

 趣味ややりたいことがあるのだけど、コミュニティがない場合は、自らが主催者となって立ち上げるのもいいだろう。自分の望むコミュニティを作り上げていく過程はやり甲斐にも通じるはずだ。

孤独のリスクを減らそう

 著者によると、メンタル疾患の患者の多くは悩みを「誰にも相談したことがない」「相談できる友達がいない」と言うそうだ。

「本当の友達が0人だと思う」と答えた人が、男性で約4割、女性で約3割という調査もある。

 孤独な状態は、健康に悪いことは科学的に判明していて、本書によると、「タバコを1日15本吸う」「肥満者の死亡率の2倍」に匹敵するそうだ。

 転居や死別など様々な理由で友達は少しずつ減っていく。

 大人になったからといって、「友達作りをしない」という選択がリスクの高いものであることは間違いないだろう。