こんな状況を想像してほしい。今は午後9時。やっと仕事が終わりそうだ。あなたは20代か30代の専門職で、ここ数時間、上司から連絡はない。いい感じだ。ノートパソコンの電源を切ったら2、3時間自分の時間を取りたいと思いつつ、いくつものタブやスプレッドシートを閉じ始めると突然、通知音が鳴る。「pls fix(直して)」のメールだ。「午後10時に『直して』のメールを受け取ったことのある人にしか分からない」。元コンサルタントで投資銀行に勤務経験のあるキャリアコーチのアメリア・ノエルさんはそう話した。上層部の誰かが送ってくるぶっきらぼうな「直して」のフレーズはプレッシャーの大きい特定の業界で働く会社員の間で社会現象となり、関連商品も生まれた。オンライン俗語辞書「アーバンディクショナリー」では、コンサルティング業界や金融業界の上司にありがちな返信メールで、「より正確に訳せば『これを大至急直せ。二度としくじるな』となる」と説明している。