例年通り、今秋もパンプキンパイのスパイスとアップルパイの香りがスーパーマーケットの売り場を満たす。だが今年、買い手が嗅ぎつけるのはそれだけではない。かすかに漂う絶望の匂いだ。小売業者は再び年末商戦で先んじる競争を開始している。米小売り最大手ウォルマートは10日にセールスイベントをスタートし、先頭を走るオンライン小売大手アマゾン・ドットコムは「プライムアーリーアクセスセール」を11日から開催する。百貨店大手コールズとディスカウント大手ターゲットは先週にホリデーセールスイベントを始めている。小売業者には、賭けるものの大きいホリデーシーズンとなる。経済とインフレに対する消費者の懸念を考えれば、縮小しつつある分け前をめぐる争いとなるだろう。一方で、米国勢調査局の最新データによれば、総合スーパーの在庫は7月に前年同月比30%増と過去最高を記録した。9月後半には米スポーツ用品大手のナイキでさえ、「過剰在庫を処分するために断固とした措置」を取っていると、業績に関する最新の電話会議で述べた。供給の遅延がその後突然改善したことで、数シーズン分の商品が一度に市場に届けられたことが原因だという。