李婷玉さん(31)は半年間、細心の注意を払って中国を離れる準備を進めた。渡航書類を用意し、架空の経歴を考え、ソーシャルメディアのアカウントの中身を入れ替えた。母親でさえ、彼女が何を計画しているのか知らなかった。元ブログ活動家の李さんは、自分の未来のために危険な橋を渡ろうとしていた。彼女は中国の社会不安についてオンラインで情報発信したかどで2016年に拘束され、4年近く警察の留置場と保護観察下に置かれた。それ以来、自分は母国で疎外されていると感じてきた。李さんの乗る航空機が6月に中国を飛び立つ直前、母親は二度と娘に会えないかもしれないと悟ったようだった。「自分が中国人であることを忘れないように」と母親はメールで念を押した。「あなたがこれからもずっと中国人であることを私は願っている」。李さんは離陸後、安堵(あんど)感が押し寄せ、泣きじゃくったという。