不安や悩みが尽きない。寝る前にイヤなことを思い出して、眠れなくなるなんてことも……。そこで参考にしたいのが、増刷を重ねて好評多々の感動小説『精神科医Tomyが教える 心の荷物の手放し方』(ダイヤモンド社)だ。ゲイのカミングアウト、パートナーとの死別、うつ病の発症……苦しんだ末にたどり着いた、自分らしさに裏づけられた説得力ある言葉。とても読みやすいオムニバス形式の8つのショートストーリーは、ふと心が落ち込んだとき、そっと心の荷物を手放すための優しい言葉を授けてくれる。voicy「精神科医Tomy きょうのひとこと」の心がスッと軽くなる“言葉の精神安定剤”で、気分はスッキリ、今日がラクになる!
楽しいことをやり尽くしてしまう癖
アナタは飽きっぽくないですか? あることが一気にマイブームみたいになって、とことんやり尽くしたら、スッと興味・関心がなくなってしまう。そして、また次のマイブームを追い求める…。
そんなことが癖になっている人がいるんです。アテクシ自身、そういうところがあります。若いうちはいろいろと未経験のことがあるから、次々とマイブームが訪れるんですけど、だんだんやることがなくなってきます(苦笑)。
自分の興味・関心の対象を消費し尽くしてしまうみたいなところがあるんですね。ネタがなくなってくることで、けっこう辛い思いをする。なんで辛いかっていうと、「やり尽くしてしまうから」なんですよね。だから、逆に言うと、興味・関心が高まったことがあったら、とことんやり尽くしちゃいけないと思ったんです。
最高級フレンチが“食べ放題”になったとしたら
最高級のフレンチのフルコースを堪能したとします。最高級のキャビアやトリフ、ヒレ肉なんかを食して、天国のような気分を味わった。仮にこれと同じ最高級のクオリティで、食べ放題のビュッフェがあるとします。最高級が食べ放題…でも、すぐに飽きてしまうでしょうね。
最高級の料理は、ゆっくりと少しずつ味わうからいいんです。それが食べ放題になったとしたら、ありがたみもなにも、なくなってしまいます。ありがたみも、ひとつの味なんですよね。
心の拠り所が一気になくなってしまう
アテクシは近ごろ自宅のインテリアにこだわって、いろいろと改装しましたが、おかげさまですごくいい感じになりました。そうしたら、以前からちょくちょくホテルに泊まるのが趣味だったのですが、自宅の居心地がよくなったものだから、まったく興味が薄れてしまったんです。そうやって趣味がひとつ減ったわけです。
アテクシにとっては、これがちょっと辛い…。だから、一気に自分の理想を追い求めないで、ほどほどにやっておいたほうが良かったと思ったんです。そうすると、たまには日常から解放されたくて、以前のように「たまにはホテルに泊まりたいな」という気持ちが湧いてきたはずなんです。
こうしたメリハリって、すごく大事で、なにかに夢中になったからといって、やり尽くしてしまうと心の拠り所がなくなってしまうんです。
ほどほどに制限することが大切
楽しいことをある程度制限することによって、その鮮度を保つような感覚でいれば、より長く楽しめる。ひとつの趣味で、5年も10年も20年も楽しめるほうがいいと思うんです。
限りある人生の時間はなるべく楽しく過ごしたほうがよいと思いますが、自分が興味・関心を高めて取り組めることは、無限にあるわけではありません。
だから、一気にやり尽くさない、ほどほどに制限するってことを意識したほうがいいと思います。みなさんも、意識してみてくださいね。
本稿は『精神科医Tomyが教える 心の荷物の手放し方』(ダイヤモンド社)の著者が日々お届けする“心のサプリメント”です。