北朝鮮の弾道ミサイルを批判せず
親日批判する民主党代表

 北朝鮮は9月25日からの20日間に、弾道ミサイルを8回発射した。中でも4日に発射した中距離弾道ミサイル(IRBM)は日本の上空を通過、北朝鮮のミサイルとして最長の距離を飛んだ。これは米国のグアムを射程に入れるものである。

 今後、大陸間弾道ミサイル(ICBM)の通常軌道での発射や、核実験を行う可能性が高まっている。

 しかし、民主党代表の李在明氏は10月7日、北朝鮮の弾道ミサイル発射を一切批判しなかった。前述の通り、ミサイルに対応して行った日米韓合同演習について「極端な親日附逆行為であり、対日屈辱外交に続く極端な親日附逆国防ではないかと考えざるを得ない」「尹錫悦大統領が以前、『日本の自衛隊が有事の際に朝鮮半島に入ってくる可能性もある』と発言した」と批判した。これは日米韓の連携を阻害する行為であり、北朝鮮を利するものである。

 また、韓国国会は民主党政権下の20年12月、国家情報院が持つ共産スパイ関連の事件などに対する捜査権を警察に移管する法律改正を強行した。国家情報院はスパイ事件などに対する捜査において中心的な役割を果たしてきた。国家情報院には秘密要員が所属しており、脱北者の管理も行っている。

 捜査権を警察に移管することで、北朝鮮のスパイ活動に対する捜査力は大いに傷つくことだろう。

北朝鮮の核ミサイル開発を
今でも支援する民主党

 米国のブロックチェーン分析企業「チェイナリシス」が公表した報告書によると、北朝鮮は昨年7回の攻撃によって総額3億9500万ドル(約580億円)規模の仮想通貨を奪ったことが判明した。北朝鮮が攻撃を仕掛けた仮想通貨の割合は、イーサリアムが最も多く58%、また、ビットコインが20%である。

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 文在寅政権時代にイーサリアム関連の対北朝鮮事業に李在明氏ら民主党の重要人物が関与したとされる疑惑について、国民の力は11日、金融監督院に調査を求めた。

 だが、民主党は「何の事実確認もない政治攻勢だ」と猛反発した。

 そもそも民主党の重鎮にこうした疑いがかけられること自体問題であるが、それを民主党がかばい、北朝鮮の不法活動を隠蔽(いんぺい)しているのであれば、断じて容認はできない。特に北朝鮮は仮想通貨で得た資金で核ミサイル開発を進めている疑惑が濃いだけに、民主党の行為は北朝鮮の核・ミサイル開発支援と言われてもやむを得ないだろう。

 北朝鮮の核による脅威は一段と高まっている。韓国が全力を挙げて防衛に努めなければならないときに、民主党は親北朝鮮姿勢を続けている。その背景には、申栄福氏に代表される主体思想信奉者の存在があることは間違いないだろう。

(元駐韓国特命全権大使 武藤正敏)