北朝鮮の挑発行動で高まる
南北間の偶発的衝突リスク
北朝鮮は弾道ミサイルによる挑発に続き、砲撃や航空戦力による威嚇、船舶の南侵など韓国に対する挑発行動を繰り返し、しかも激化させている。それは北朝鮮による南侵訓練ともとれる行動であり、韓国側が反発するのを口実に、一層挑発行動を高めていくだろう。
そこには米韓連合軍が合同演習を行うなど、北朝鮮に対する牽制(けんせい)行動を強めているのを封じ込める意図が感じられる。
北朝鮮の挑発行動は、南北間の偶発的衝突も辞さないような危険をはらんだ行動である。仮に南北で軍事衝突が起きる場合には、通常戦力が米韓と比べ圧倒的に脆弱(ぜいじゃく)な北朝鮮が弾道ミサイルに載せて戦術核を使用する可能性を排除できない。
中国共産党大会が終了し、習近平国家主席の3期目が確定し、しかも政権を習氏側近で固め、政権基盤も固まった。金正恩(キム・ジョンウン)氏は直ちに習氏に祝電を送るとともに、労働党機関紙・労働新聞は全6面を使って特集で報じた。習主席の絶対権力確保で北朝鮮の中国への期待がうかがわれるとともに、北朝鮮は中国への配慮をせず動ける余地が広がったと言えよう。朝鮮半島は一層緊迫の度合いを深めていく可能性がある。