日本銀行Photo:PIXTA

円ドルレートついに151円台
円安で日本の国力が疲弊する

 円ドルレートが21日には一時151円台と32年ぶりに安値をまた更新した。その後、円買い介入がまた行われ、少し円高に戻しているが、効果は持続しないだろう。

 急激に進む円安は、日本経済と日本人の生活に甚大な悪影響を及ぼす。第1は、物価高騰が収まらないことだ。

 仮にドル建て資源価格が落ち着いても、円安が進めば輸入物価が上がり、それが転嫁されて消費者物価が上がる。国民の暮らしは困窮し、ガソリンや電気・ガスの「円安補助金」で防衛費並みの巨額の対策費が必要になる。

 大企業は原価の増加を転嫁でき、輸出の売り上げが膨らんで利益が記録的な水準にまで増えているが、零細企業は価格交渉力が弱いため、原価の値上がりを売り上げに転嫁できず、このため、利益が大幅に落ち込む。

 こうした格差は法人企業統計調査にはっきりと現れている。

 第2は、日本の国際的地位の低下だ。ドル換算した日本の賃金が低下するため、海外からの労働力や高度人材を日本に招致するのが困難になる。フィリピンの介護人材などが他国に流れ、日本の有能な人材が海外に流出する動きが目立ってきた。

 この流れは日本の長期的な成長力を著しく低下させるだろう。