日本の自動車業界は男性中心の組織文化がはびこっており、下請けメーカーは低賃金――そんな固定観念を覆す企業はあるのだろうか。特集『自動車・サプライヤー SOS』(全16回)の最終回で、ダイヤモンド編集部は、初めて「自動車業界216社『賃上げ・人材採用力』ランキング」を作成。人への投資を強化して、人材採用力を高めているメーカーをデータであぶり出した。ランキングでは、女性管理職がいまだにゼロの旧態依然とした上場企業が6社あることも分かった。(ダイヤモンド編集部副編集長 千本木啓文)
女性管理職ゼロの6社の社名を公開
人材の多様性では日産が健闘
残念ながら、自動車業界には、「買いたたき」をされている下請けメーカーが低賃金で社員を働かせる――といったイメージがある。
自動車ユーザーの半数は女性なのに、開発を主導するのは男性ばかりといった問題もある。
そういった業界で、ダイバーシティー(多様性)に配慮しながら賃上げを実現している優良会社はあるのだろうか。
ダイヤモンド編集部は、その疑問に答えるため、自動車業界の「賃上げ・人材採用力」ランキングを初めて作成した。
格付けに当たっては社員の平均給与(絶対額)や給与増加率などの「賃上げ実績」と、女性管理職比率や男女賃金格差といった「多様性」を重視した。
具体的には、以下の八つの評価項目でランキングを作成した。
●賃上げ実績や採用力を評価する項目
(1)平均年間給与
(2)年平均給与増加率
(3)年平均従業員増加率
●多様な人材が活躍できる環境があるかを評価する項目
(4)女性管理職比率
(5)男女賃金格差
●採用力を担保する事業の収益性や成長性を評価する項目
(6)年平均売上高成長率
(7)営業利益率
(8)売上高研究開発費率
次ページでは、自動車業界216社「賃上げ・人材採用力」ランキングを全公開する。自動車業界で、人への投資を強化して、生き残り力を高めている企業はどこなのか、逆に、女性管理職がゼロなど、多様な人材が活躍できる環境が整っていない企業はどこなのかを明らかにする。