新刊『脱サラパーソナリティ、テレビを飛び出す~佐久間宣行のオールナイトニッポン0(ZERO) 2021-2022~』(扶桑社)が発売となった佐久間宣行氏。ラジオファンにはラジオパーソナリティとしてアツい人気を誇る佐久間氏だが、サラリーマンから独立し、「鎌倉殿の13人」のトークスペシャル番組で初MCを務めるなど、ビジネスパーソンとしての仕事の顔も、今、大きな注目を集めている。本連載では、佐久間氏が自らの仕事術を綴ったビジネス書『佐久間宣行のずるい仕事術』から氏が提唱する仕事術の一部をお届けするが、今回は特別に本書から、佐久間氏と長年、仕事をしているおぎやはぎさんのインタビューを公開する。

おぎやはぎが語る「仕事ができる人の特徴ベスト6」
おぎやはぎ
小木博明(1971年8月16日生まれ、東京都出身、B型)。矢作兼(1971年9月11日生まれ、東京都出身、A型)。プロダクション人力舎所属。1995年結成のお笑いコンビ。

「この人に任せれば平気」と思える

―――佐久間さんとの出会いは、芸人さんのオーディションだったそうですね。

矢作兼さん(以下、矢作):ですね。ただ、佐久間さんがその話を何度かしてくれたから知ってるだけで……。

小木博明​さん(以下、小木):おれたちは覚えてない(笑)。

矢作:最初にご一緒した番組は「大人のコンソメ」だったんですけど、企画が斬新すぎて、手応えがあるのかないのかわからないまま収録が終わっちゃって。

小木:現場も盛り上がってないし、「こんなんで大丈夫かな?」ってすげえ不安だったよね。

矢作:でも放送を観たらすっごくおもしろくなってたの。「編集の力ってこれか!」って最初に思わせてくれたのは佐久間さんだね。

小木:うん。この人に任せれば平気だって思った。

矢作:現場ではスベってるのにおもしろくしてくれるんだからすごいよ(笑)。それまでは笑いって全部自分たちの責任だと思ってたんだけど、芸人以外の力の大きさをはじめて知った瞬間だったかなあ。

気分がフラット

―――佐久間さんは、仕事の現場ではどんな方でしょう?

矢作:偉そうにしてるのは見たことないですよ。

小木:おれたちの前の佐久間さんが真実かはわからないけど、悪い評判もホント聞かないね。どういう人にも敵がいて、そういう話はだいたい入ってくるもんだけど。

矢作:うん、全然聞かない。いつも同じテンションだしね。佐久間さんがテレビに出てるのを観ても、「よそゆきだな」とも思わない。

小木:そうそう。フラットだよね。

矢作:まあ、ラジオで手応えを感じたのか、ちょっとしゃべりに自信を持ち始めたなと。

小木:それはある。最近、やたら楽屋でエピソードトークしてくるしね。

一つの「チーム」になれる

―――(笑)。おぎやはぎさんと佐久間さんは、どんな関係を育んでこられましたか?

小木:とにかく芸人が好きでしょ、あの人。愛情深くて怖いくらいですけど(笑)、それが伝わってくるのはうれしいですね。「なんとか小木を生かそう」って、おれのことをおれより考えてくれてるし。

矢作:佐久間さんに会うまでは「小木をどう活かすか」っておれが考えてたけど、この人に小木を任せようと思ったもん。

小木:あと、すっごい考えてくれるよね。現場で。

矢作:そうそう。カメラの前でぼくらが一生懸命、「次の展開はどうしよう」って考えるでしょ。そのカメラの向こう側で、同じレベルで考えてるのが佐久間さんなんです。

小木:おれらと同じ顔してますよ。並んで立ってないだけで、一つのチーム、一つのグループって感じがする。

安心して攻められる

―――演者さんの立場で考える。

矢作:たとえば、芸人が現場でなにか思いついて、演出プランや台本からはみ出ようとしたとき、ふつうは元のレールに戻そうとするのがディレクターなんだけど……。

小木:佐久間さんはそうしないから安心して転がせる。なんなら、自分がつくった台本を自分で無視しますからね。

矢作:こっちのほうがおもしろそうと思ったらそっちに持っていこうとするよね。演出家にはあんまりいないタイプですよ。

常にアップデートしている

―――つくり手としての佐久間さんへの深い信頼を感じます。

矢作:真面目だしね。めちゃめちゃ働いてるのに、浴びてる情報量がすごい。いつ寝てんだっていつも思います。

小木:舞台とか映画にもすごい行ってるし。

矢作:ドラマ観て音楽も聴いて。はやってるものは全部吸収してるんじゃない? あの人がえらいのは、30代の知識で40代を乗り越えようとするんじゃなくて、常にアップデートしようとするところ。誇張じゃなくて毎日更新してる。ああ見えて感覚派じゃない。

べたべたしない

―――ちなみに佐久間さんは芸人さんとあまり飲みにいかないそうですが、ホントですか?

矢作:そうね、年に1~2回かな? 基本的にぼくらの周りは、芸人もつくり手も一定の距離感は保ってて。リスペクトしてるし好きなんだけど、べたべたしない。いわゆる東京スタイル? マンション型人間関係ね。距離を保ったほうが悪いところが見えないし。

小木:そうそう。いい距離感、大事なのよ。

―――テレビ東京から独立された佐久間さんの今後の活躍も楽しみですね。

小木:表に出る人間として、もう少し格好にこだわってほしいけどね。まあ、汚らしいところが天才っぽいんだけど、スタイリストつけたら鬼才に見えるよ。ドンッと上にいくと思う。

矢作:才能って言っていいのかな。アイデアを考えつく人だし、それを突き詰めて形にする力もある人だからさ。まだまだ大きい山を当てそうな感じはするねえ。

『佐久間宣行のずるい仕事術』より)
にはこの他にもインタビューや、具体的な仕事術が多く掲載されています。