子どもたちが生きる数十年後は、いったいどんな未来になっているのでしょうか。それを予想するのは難しいですが「劇的な変化が次々と起きる社会」であることは間違いないでしょう。そんな未来を生き抜くには、どんな力が必要なのでしょうか? そこでお薦めなのが、『世界標準の子育て』です。本書は4000人を超えるグローバル人材を輩出してきた船津徹氏が、世界中の子育ての事例や理論をもとに「未来の子育てのスタンダード」を解説しています。本連載では本書の内容から、これからの時代の子育てに必要な知識をお伝えしていきます。

世界標準の子育てPhoto: Adobe Stock

共通する資質は、能力ではなく態度

 子どもの学習面の育て方のミスで多いのが「学校まかせ」。「学校に通わせておけば学力は身につくだろう」という考えです。

 残念ながら、ただ学校に通わせているだけでは勉強ができる子は育ちません。

 勉強ができる子にするには、家庭で育てるべき基本的な資質があるのです。

 これをほったらかして学校まかせにしていると、勉強に向き合えない子になり、学校生活を通して学業で苦労するようになります。

 カリフォルニア州立大学名誉教授、アーサー・コスタ博士は「勉強ができる子」に共通する資質を調査しました。

 この調査から浮き上がってきた結果は、コスタ博士の想像とはまったく違っていたものになったそうです。

 以下、調査でわかった「勉強ができる子」の資質をいくつかご紹介します。

  • 1. あきらめない子
  • 2. 自制心がある子
  • 3. 人の話を聞ける子
  • 4. 柔軟に思考できる子
  • 5. 正確さを追求する子
  • 6. チャレンジを恐れない子

 これらを見てわかるとおり、勉強ができる子に共通する資質とは、数字や図形が得意、記憶力がずば抜けている、といった「知的な才能」ではなく、「あきらめない」「自制心がある」「聞く力がある」「チャレンジを恐れない」といった「学習態度」なのです。

 これは、私の経験からも明らかです。ごく稀に天才的な素質を持って生まれてくる子を除き、勉強ができる子には必ず「良い学習態度」が育っています。

 粘り強く努力を継続する力、集中して物事に取り組める力、人の話をよく聞く力、失敗を恐れないチャレンジ精神といったものです。

 残酷なことを言えば、すでに小学校低学年の時点でこれらの学習態度が身についている子と、そうでない子とでは、学力がはっきりと分かれてしまいます。

 この学習態度を育てる責任者は、学校ではなく親です。学校はあくまでも「学問」を教える場であり、「学習態度」を育てるのは親の仕事なのです。

 家庭で訓練をしておかないと、同じ授業を受けた時、吸収できる量が変わってきます。

 100%吸収できる子はどんどん勉強が得意になっていきますし、10%しか吸収できない子はどんどん勉強が苦手になっていきます。

 100%吸収できる子は、たとえ有名な学習塾に入っていなくても、学校の授業だけでも十分に学力が備わるのです。

学習態度を決定するのは6歳までの習慣づくり

 では、具体的に家庭でできるサポートとは何でしょうか?

 それは小学校に上がる前までに、本を読み聞かせする、プリント学習に取り組ませる、読書活動をさせる、時事問題を話し合う、新聞記事を読み合うなど、子どもと密にコミュニケーションを取りながら学習習慣を確立することです。

 もしも、今みなさんがすでに子育てをしていて、子どもが「勉強嫌い」なのであれば、今から学習習慣づくりに取り組んでください。決して放置せず、助けてあげてください。

 宿題を見てあげる、わからない部分を教えてあげる、一緒に図書館に行って本を探すなど、毎日少しの時間で構いません。

 親がサポーターとなって子どもと一緒に時間を過ごしてあげることで、子どもは「がんばろう」という意欲を取り戻すことができます。

 学校の先生とコミュニケーションをとって、今何を勉強しているのか、どこでつまずいているのか、どのようなサポートをすればよいのかなどを話し合ってみてください。