TOHOシネマズPhoto:Diamond

コロナ禍の収束を待たずに、今度は資源・資材の高騰や円安急進が企業を揺さぶっている。上場100社超、30業界を上回る月次業績データをつぶさに見ると、企業の再起力において明暗がはっきりと分かれている。前年同期と比べた月次業績データの推移を基に、「嵐」から「快晴」まで6つの天気図で各社がいま置かれた状況を明らかにする連載「コロナで明暗!【月次版】業界天気図」。今回は、7〜9月度のレジャー編だ。

「ONE PIECE FILM RED」の記録的ヒットでも
TOHOシネマズが喜びきれない訳

 レジャーの主要3社が発表した7〜9月度の月次業績データは、以下の結果となった。

◯TOHO シネマズ(東宝)の映画興行収入
 7月度:前年同月比125.5%(25.5%増)
 8月度:同153.4%(53.4%増)
 9月度:同147.4%(47.4%増)

◯ラウンドワンの既存店売上
 対2019年比のみの業績開示のため、22年4~6月度から対象外とした。

◯東京スカイツリー(東武鉄道)の天望デッキ来場者数
 7月度:前年同月比340.0%(240.0%増)
 8月度:同459.0%(359.0%増)
 9月度:同352.1%(252.1%増)

 レジャー業界は、新型コロナウイルス禍で大打撃を受けた業界の一つだ。しかし、TOHOシネマズも東京スカイツリーも上の数字を見ると大復活を遂げたように映る。特に、22年9月度は東京スカイツリーの展望デッキ来場者数が前年同月比で3.5倍と桁違いの数字をたたき出している。

 TOHOシネマズも、記録的な興行収入を記録している「ONE PIECE FILM RED」というヒット映画作品に恵まれて業績に追い風が吹いた。

 しかし、2社の状況を詳しく見ていくと、業績が「爆増ラッシュ」でも手放しで喜べる状況ではないことが分かる。次ページで詳しく解説しよう。