選別開始!倒産危険度ランキング2022#15Photo:mfto/gettyimages

新型コロナウイルス感染拡大に伴う営業自粛で大打撃を受けた外食業界。とりわけ居酒屋業態は、飲み会控えの浸透で回復の遅れが続く。外食業界の倒産危険度を検証したところ、26社が“危険水域”入りした。特集『選別開始!倒産危険度ランキング2022』(全20回以上)の#15では、外食業界の倒産危険度ランキングをお届けする。居酒屋業態の企業が多くランク入りする中、著名な高級店が上位に名を連ねた。(ダイヤモンド編集部 山本興陽)

ファストフードの市場は回復も
居酒屋はまだコロナ禍前の半分

「ゼロゼロ融資で借り入れが増えたものの、利益が増えない。多くの飲食店が“過剰債務”に陥っている」

 外食業界向けの財務コンサルティングを手掛ける企業のある幹部は、今の業界の苦境をこう語る。

 新型コロナウイルス感染拡大に伴う営業自粛で大打撃を受けた外食業界は、最悪期から脱しつつある。日本フードサービス協会によれば、2022年9月の外食産業全体の売上高は、前年同期から19.7%増加。コロナ禍前の19年9月と比べても94.1%の水準まで回復した。

 ただし、その回復度合いは業態によって“格差”がある。ファストフード業態の22年9月の売上高は、19年9月と比べて8.3%増と成長に転じた。ところが、飲み会需要が“蒸発”した居酒屋業態は、19年9月と比べた売上高は51.9%で、市場の半分が消えた状態になっている。

 業態間の格差が広がる中、飲食店にはコロナ禍への支援として政府が始めた、実質無利子・無担保の「ゼロゼロ融資」の返済が迫る。東京商工リサーチが22年10月に行った調査によれば、飲食業のうち「過剰債務」と答えた企業の割合は62.1%で、娯楽業に続いて高かった。

 ゼロゼロ融資返済開始に伴う倒産急増を食い止めようと、政府は過剰債務を抱える企業に対して、債務減免を含む事業再生支援策を実施する方針を総合経済対策に盛り込んだ。飲食業は、債務減免を含めた支援策が優先される“徳政令救済6業種”に名を連ねる。(本特集#2『国がゼロゼロ融資の債務減免「令和の徳政令」実施へ、救われる企業の「ボーダーライン」は?』参照)

 コロナ禍によるダメージがいまだ残る外食業界。ダイヤモンド編集部が倒産危険度を検証したところ、26社が“危険水域”と判定され、そのうち11社が居酒屋業態だった。居酒屋苦境が明らかになる中、ランキングのワースト上位に、著名な高級店も名を連ねた。

 次ページでは、中堅から大手、地方企業まで26社がランク入りした外食業界の倒産危険度ランキングを企業の実名と共にお届けする。