「衣・食・泊」――。コロナ禍で深刻な危機に陥ったのがこの3業界だ。このうち外食とアパレル業界は若干回復基調なのだが、海外旅行やインバウンド需要に頼っていた旅行・ホテル業界はいまだ苦しい状況が続く。特集『選別開始!倒産危険度ランキング2022』(全20回以上)の#21では、旅行・ホテル業界の倒産危険度ランキングをお届けする。25社が“危険水域”に入り、9位にHISが名を連ねるなど、有名企業もランクインした。(ダイヤモンド編集部 山本興陽)
HIS社員の出向続く、ハウステンボスは売却
旅行・ホテルの25社が“危険水域”に
「まだ自分は社外への出向を続けています。今は旅行とは関係のない仕事なので、戻れるのを楽しみにしています。会社の業績は不安ですが……」。旅行大手エイチ・アイ・エス(HIS)のある関係者は、自身の現状についてそうこぼす――。
新型コロナウイルスの感染拡大は、旅行・ホテル業界を苦境へと追い込み続けている。HISも例に漏れず、2021年春ごろから1000人規模の社員を外部に出向させている。出向は23年春ごろには終了するとみられるが、主力の海外旅行需要の“蒸発”に変わりはなく、社員や関係者の不安は尽きない。
足元の業績も厳しく、22年10月期第3四半期決算は、売上高が999.4億円、営業赤字が391.4億円、最終赤字は332.6億円だった。前年同期と比べ営業利益は77億円改善したものの、自己資本比率は5.4%にまで低下。債務超過を免れるべく、稼ぎ柱のハウステンボスを667億円で香港の投資ファンドに売却した。22年10月期決算で647億円の特別利益を計上し、自己資本比率は大幅に改善するとみられる。
しかし、低空飛行が続く海外旅行需要を受け、業界内では早くも、「ハウステンボスの次の売却」も取り沙汰されている(『ハウステンボスを667億円で売却したHISの「次なる切り売り候補」』参照)。
ダイヤモンド編集部が旅行・ホテル業界の倒産危険度を検証したところ、25社が“危険水域”と判定された。そしてHISはワースト9位にランクインした。ほかに旅行・ホテル業界の“倒産予備軍”はどの企業か。
次ページでは、中堅から大手、地方企業まで25社がランク入りした旅行・ホテル業界の倒産危険度ランキングを、企業の実名と共にお届けする。