「コミュニケーションは“お笑い”のスキルでもっとうまくいきます」。そう語るのは、元芸人でネタ作家の芝山大補氏だ。芸人300組以上のネタ制作に携わった経験を活かし、ビジネスパーソンから一般の方まで幅広い層に「コミュニケーションに活きる笑いのスキル」を教えている。そのノウハウをまとめた初の著書『おもろい話し方 ~芸人だけが知っているウケる会話の法則』が話題を集めている。「初対面でも会話が続く人がやっていること」「トークで相手を引き込むコツ」「相手の心に10倍響く“感想”の伝え方」「好かれるリアクションの極意」「すべらない話の作り方」「お笑いタイプ診断」など、元芸人ならではのコミュニケーションノウハウが満載の一冊だ。今回は、その芝山氏にコミュ力を高めるコツを聞いてみた。

「失敗して笑われたとき」にコミュ力の高い人が絶対にやらないことPhoto: Adobe Stock

「失敗してイジられたとき」にやってはいけないこと

「重要なところで噛んでしまった」「言い間違え、聞き間違えをした」「誤って失礼なことを言ってしまった」

 このように「失敗」したときに、イジられたり、笑われてしまったりすることがあると思います。

 実は、この場面で「やってはいけないこと」があります。結論から言えば、失敗してイジられた後に「ボケる」のはNGです。例えば、こんな感じです。

【ダメなパターン】
A「今日は本当にありぎゃちょう(盛大に噛む)」
B「ありぎゃちょうってなんだよ(笑)」
A「今の俺、犬ぐらい噛んでたよな?(ボケる)」

 このように、失敗してイジられた状況をボケで返すのはよくありません。それは「笑いの種類」が違うからです。

 笑いには「笑わせている」「笑われている」の2種類があります。ボケたりツッコんだりして、意図的に笑いを取るのは「笑わせている」、失敗などで偶発的に笑いを起こすのは「笑われている」に該当します。

 この「笑われている」状況のときに、ボケて「笑わせている」方向に持っていこうとしてもうまくいきません。また、せっかく生まれた「笑われている」状況も生かせずもったいないと言えます。

「笑われている状況」を面白くするリアクションとは?

「笑われている」状況では、それを生かすリアクションを取りましょう。先ほどのケースであれば、こんな感じです。

【面白くなるパターン】
A「今日は本当にありぎゃちょう(盛大に噛む)」
B「ありぎゃちょうってなんだよ(笑)」
A「まじで最悪……今までの話ぜんぶ台無しやん……(凹む)」

 こうやって、シンプルに落ち込んだり、悔しがったりするのがオススメです。

 テレビ番組でも、芸人が噛んでイジられ、それに落ち込むリアクションで笑ったことがあると思います。まさにそれが失敗してイジられたときの面白いリアクションなのです。

 プライドが高い人の場合、どうしても笑われている状況が嫌で、笑わせようとボケてしまうものです。しかし、「笑われている」状況をしっかり生かすリアクションを取ることも大事です。ぜひ、この2種類の笑いを意識してみてください。

芝山大補(しばやま・だいすけ)
ネタ作家
1986年兵庫県生まれ。2007年、NSC大阪校に入学。2009年、2011年には、それぞれ別のコンビでキングオブコント準決勝進出。2015年にはフワちゃんと「SF世紀宇宙の子」を結成。同コンビを解散後は、ネタ作家に転身。賞レースのファイナリスト、セミファイナリストなど、芸人300組以上のネタ制作に携わる。2019年からは、「笑いの力で人間関係に悩む人を救いたい」という想いから、お笑いの技術を言語化して伝える「笑わせ学」に取り組む。講義やイベントでの指導、YouTubeやTikTokでの活動を通じて、多くの人に芸人の技術を伝えている。発売から続々重版が決まっている初の著書『おもろい話し方』が絶賛発売中。