「静かで控えめ」は賢者の戦略──。そう説くのは、台湾出身、超内向型でありながら超外向型社会アメリカで成功を収めたジル・チャンだ。同氏による世界的ベストセラー『「静かな人」の戦略書──騒がしすぎるこの世界で内向型が静かな力を発揮する法』(ジル・チャン著、神崎朗子訳)は、聞く力、気配り、謙虚、冷静、観察眼など、内向的な人が持つ特有の能力の秘密を解き明かしている。騒がしい世の中で静かな人がその潜在能力を最大限に発揮する方法とは? 同書の著者に秘訣を教えてもらった。(取材・構成:田中裕子 初出:2022年12月16日)
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今日という日の優先順位を決める
──幸せに生きるために欠かせない、朝の習慣はありますか?
ジル・チャン:毎朝まず、「今日やることリスト」を3つだけ書き出すようにしています。
今日、自分が最もすべきことを書き出すことで、リスト以外のタスクが発生しても「優先順位」を守ることができます。
また、終わったタスクには1つずつ線を引いていくことで、達成感を得られる効果もあります。書き出すタスクは4つでも5つでも構いませんが、あまり増やしすぎず、あくまで「現実的なリスト」として機能させることが大事です。
この方法は、以前、政府関係の仕事をしている方とお話ししたときに編み出しました。日々多忙を極めているその方が「どれだけ働いても一日でこなせるタスクは6つが限界だ」と言っていて、「こんなにすごい人でも6つなのであれば、自分は3つで十分だろう」と考え、毎朝書き出すようになったのです。
私はそれまで、やりたいことだらけで「あれもこれも」と注意散漫に過ごしていました。でも、内向的な人間は、物事にフォーカスすることでよりよい成果や充実した時間を生み出すことができます。タスクを書き出し、「ほんとうにその日のうちにすべきこと」や「今の自分にとって重要な時間」を見える化した結果、優先順位を間違えて後悔することがなくなりました。
間違いなくプラスになる2つのタスク
どんなタスクを書き出せばいいか迷う方には、「エクササイズ」と「読書」がおすすめです。ほとんどの人にとって「やらなければならない」タスクは仕事だと思いますが、間違いなく人生のプラスになる「やっておいたほうがいい」タスクは、この2つだと私は考えています。
私自身、この2つのタスクはできるだけ毎日、少しずつでも取り入れるようにしています。この時間によって、より豊かな人生を送れている実感があるのです。『「静かな人」の戦略書』にも書きましたが、とくに内向型は一人の時間を確保することで元気を回復できるので、読書はエネルギーの充電にもうってつけです。
ただし、「いい」とわかっていても続けるのはむずかしいものです。たとえば「毎日30分の散歩と20ページの読書を習慣にしよう」と決めていても、実際にやってみようとすると、「たったそれだけ」の時間を取るのに意外と苦労するものです。
でも、たった30分、たった20ページでも、継続して積み重ねれば、人生にポジティブなインパクトをもたらしてくれます。もちろんタスクは人によって違うものですが、何をするか迷ったときは、「エクササイズ」と「読書」を取り入れてはいかがでしょうか。
>>次回「【ここが違う】『仕事ができる人、できない人』決定的な1つの違い」に続く