水が出ている蛇口とコップ写真はイメージです Photo:PIXTA

全国613万人を基盤とした調査(LINEリサーチによる)で「アフターコロナでも続けたい習慣」の第1位は「こまめな手洗い・うがい」で、全世代で6割弱に支持されています。うがいは日本では平安時代から行われていた習慣なのですが、世界的にはあまり行われていませんでした。しかし今世紀になり日本の研究グループが「うがいの風邪予防の効果」を科学的に証明してから、世界的にうがいは広まってきました。うがいは日本が誇る良習慣ですが、9割の患者が残念なやり方をしていると嘆く歯科医師もいます。効果的なうがいについてお伝えします。(監修/歯科医師・幸町歯科口腔外科医院・院長 宮本日出)

水をたっぷり使えばキレイになるワケではない

 口の中は虫歯菌・歯周病菌のほかにもカンジダ菌や肺炎菌、新型コロナウイルスやインフルエンザウイルスなど、日常生活を普通に送っているだけでも700種類以上、約5000億菌数のバイ菌が存在します。歯の表面に多くいると思っている人が多いのですが、実は全体の7割ほどのバイ菌は粘膜の表面に付いています。その除菌に有効な方法がうがいです。

 うがいは口の中で水と空気を勢いよく還流させることで除菌効果が上がりますので、たっぷりの水でうがいをすればキレイになるどころか、むしろ逆効果になります。ペットボトルに空気の隙間もないほどに水を入れて振っても水流は起こりにくく中は洗えませんが、少量の水を入れて振ると空気と混ざり中をキレイにできるのと同じです。

 そこでオススメしたいのが「全力5秒うがい」。通常のうがいでの除菌率は37%ですが、この『全力5秒うがい』では97%の除菌効果があると、私も出演したNHK「あさイチ」の「コロナ禍のオーラルケア」特集の実験で証明された方法です。やり方は至って簡単で、5秒ずつ「ブクブクうがい」と「ガラガラうがい」を交互に行い、合計3セット、つまり一連で30秒のうがいをするだけです。

『全力5秒うがい』のポイントは二つあります。一つ目は水の量で、大さじ2杯分(30ml)の水を口に含み、口の中の空気と混ぜます。もう一つは、頬を膨らませて全力で舌を前後に動かすことです。勢いよく「ブクブクうがい」を5秒間したら、その後は頭を後ろに傾け真上を向いて口を少し開けてから「ガラガラうがい」を5秒間してから水を吐き出します。「ガラガラうがい」のときには下顎を少し突き出すようにしてうがいをすると水が奥まで届き、喉の除菌もできるのですが、その際は誤って水を飲み込まないようにしてください。

『全力5秒うがい』では口や口周りの筋肉が鍛えられて、口呼吸やオーラルフレイル(口機能低下症)の対策にもなります。マスク生活が長引いたせいで、いつも口が開いている「お口ポカン」の人が増えましたが、『全力5秒うがい』は口が自然と開くのを防ぐ効果もあります。