歯列矯正にかかる費用は15万円~120万円程度と、元々の歯並びや治療方法によってかなり差が出るもの。治療期間も、半年で終わる場合もあれば、5年以上かかることも。ところが、お金と時間をかけて歯並びを治したにもかかわらず、“失敗”に終わってしまうケースもあるという。歯列矯正の失敗とは一体何なのか? 表参道矯正歯科の川崎健一院長に話を聞いた。(清談社 中村未来)
4年間で100万円の
治療が水の泡に
山田久美子(30歳・事務)さんは、「できることなら、歯列矯正をやり直したい」と話す。久美子さんは中学生のとき親に勧められ、歯列矯正を開始。14歳から17歳まで、ワイヤーによる歯列矯正をした。
「矯正前は、上下の歯、ともにガタガタでしたが、4年かけてすっかりきれいになりました。あんなにも凸凹だった自分の歯が、アーチ状に並んでいるのを見て、すごく感動したのを覚えています」
煩わしかったワイヤーが外され、やっと治療が終わったと思った久美子さんだったが、歯列矯正には次の段階があった。
「治した歯が戻らないように、保定用のマウスピースを装着するようにドクターから言われました。でも、もう治ってるし、いいやと思っちゃったんですよね」
しばらくはマウスピースをつけて生活していた久美子さんだったが、歯並びもそのままだったので、次第にマウスピースをつけなくなり、半年に一度の定期検診もやめてしまった。すると、きれいだった歯並びが少しずつ動き始め、15年たった現在、上の前歯、下の前歯ともに凸凹が出来てしまったという。
「歯並びが治ったら、治療も終わりだと油断していたのが間違いでした。まさか、こんなにも戻っていくものだとは思いませんでした…。もっとドクターの話を聞いて、ちゃんと通院を続けていればよかったと後悔しています」