男性の3.5人に1人、女性は5.6人に1人が生涯未婚と、独身者は急増中。いまや「一生ひとりかもしれない」というのは、普通の感覚です。しかし、税金や社会保険などの制度は結婚して子どもがいる人を中心に設計されており、知らずにいると独身者は損をする可能性も。独身者と家族持ちとでは、本来お金についても老後対策についても「気を付けるべきポイント」が違います。独身者がひとりで楽しく自由に生きていくためにやっておくといい50のことを税理士の板倉京氏が著した「ひとりで楽しく生きるためのお金大全」から、一部を抜粋して紹介します。

独身貴族は要注意!<br />キリギリス的思考が<br />身を滅ぼす©Meppelstatt

今の日本じゃ、キリギリスは助からない

「結婚したい人がいなかった」
「独身のほうが自由で気楽」
「仕事が忙しくて気がついたら、独身だった」

 独身であることの理由は人によって様々ですが、もし、「自分は一生独身かもしれないな」と感じたら、なるべく早めに考えていただきたいことがあります。

 それが将来のお金のこと。

 もちろん、家族持ちにとってもお金のことは一大事ですが、家族がいない独身者は、人生を自分の思い通りに決められるという自由を享受できる一方で、将来に対する責任をひとりで負う覚悟が、今の日本では求められるからです。

「今から老後に備えましょう」という話をすると「え? まだそんな年じゃないし、仕事も忙しいからあとでゆっくり考えればいいかな……」という独身者は多いです。

 特に仕事も脂がのってバリバリ稼いでいて、今現在は経済的な不安もなく、自由きままな生活を享受している人であれば、定年後や老後もその生活がそのまま続けられそうな気がしてしまうかもしれません。

キリギリスタイプは要注意

「アリとキリギリス」のお話はご存じでしょうか?

 夏にバイオリンを弾いて楽しく過ごしているキリギリスの傍らで、アリは冬に備えて食料を一生懸命運んでいます。キリギリスは「食べ物なんてたくさんあるのに何をあくせくしているのか」とアリをからかい、秋になっても遊んで暮らしています。

 やがて冬がやってきて草木は枯れ、花も散った時、アリには夏の間に貯めておいた食料があり安心して暮らすことができましたが、キリギリスはお腹がすいて困り果ててしまうのです。

 童話では、キリギリスはアリに泣きついて、なんとか食料を分けてもらうことができましたが、今の日本ではアリさんのような助けはあまり期待できません。

 あなたは「キリギリス」タイプになっていないでしょうか?

 自由を謳歌して「自分の稼ぎは、全部自分で使う!」「将来のことはよくわからないけど、忙しいからあとで考えよう」といった人は要注意。今が大丈夫だからといって将来もその状況が続く保証はありません。

 家族がいれば「子どもの教育のため」「自分に万が一のあった時の家族のため」など将来について考えるきっかけもありますが、独身者にはそういったきっかけがなかなかありません。しかも、独身者の将来には、現役時代には見えにくい「罠」がいくつか待ち受けています。まずそこからお話ししていきましょう。

*本記事は、板倉京著「ひとりで楽しく生きるためのお金大全」から、抜粋・編集して構成しています。