米国最大の小売業者が、仕入れ先に対して新たなメッセージを発信している。値上げはもう受け付けないと。ウォルマートのダグ・マクミロン最高経営責任者(CEO)は先月、同社傘下の会員制量販チェーン、サムズクラブで販売する製品を製造する企業を前に、そう警告した。事情に詳しい複数の関係者によると、同氏はホテルの大広間で、納入業者の値上げを拒否する意向を明らかにした。また、革新的な製品を開発すれば、購入が促されるとも述べたという。納入業者に無理を強いることで価格低下を可能にするウォルマートの手腕は長年知られているが、ここへ来てその力を再び見せつけている。その背景には、あらゆる需要が急増した新型コロナウイルス禍の間に根付いた小売業者と納入業者の力関係が、景気減速と在庫過多で一気にひっくり返ったことがある。