ネットによる直販開始で
全国のニーズを取り込む

紙だけで作る高機能食品パッケージ テイクアウト需要の拡大に応える今後の成長戦略実行の任を受けて現場を率いる同社専務取締役・成田学氏(写真右)

 品質には自信があったものの、営業に際しては新規参入ならではのハードルが立ちはだかる。既存の資材問屋の存在だ。「そこで、インターネットによる直販をスタートさせました」(宇田氏)。

 楽天市場やアマゾン、そして自社サイトも作成し、全国販売を展開。高価格帯の駅弁を手がける中堅の弁当事業者の他、個人営業の寿司・うなぎ・焼き肉店など、高級感を重視する飲食店からのテイクアウト需要が舞い込む。単価以上の品質にネット上で軒並み高評価・コメントが付き、3年前ぐらいからじわじわと新規顧客やリピート客を獲得していく。

紙だけで作る高機能食品パッケージ テイクアウト需要の拡大に応える店名や商品ロゴの印刷など、個別のニーズにも細かく対応
●山東印刷株式会社 事業内容/パッケージ製作、一般印刷、従業員数/16人、売上高/1億3000万円(2021年度)、所在地/北海道夕張郡栗山町中央2-245、電話/0123-72-1151、URL/santouprint.co.jp

「ネット販売では、一人一人のお客さまのコメント、評価が公開されるため、その積み重ねが重要です」と宇田氏。食品関連でひとたび問題が起これば、メディアなどでも拡散されやすいが、販売以来、一切のクレームがない。これも手間と時間を惜しまず、開発に取り組んだ蓄積のたまものであろう。売り上げも、2020年から右肩上がりに推移している。

 また、空知信用金庫とのマッチングにより、菓子メーカーのパッケージ製作に技術提供するなど新たな動きも出始めている。ナンバー2として現場を率いる同社専務取締役・成田学氏は、今後はネット販売による販路拡大を強化するとともに、「生き残りを懸け、オリジナリティーのある新商品の開発に引き続き取り組んでいきます」と力強く語る。

 近年のデジタル化により、多くの企業がビジネスモデルの転換を余儀なくされる中、自らの強みを生かしつつ新分野を開拓し、成長につなげた同社。今後のチャレンジにも期待したい。

(「しんきん経営情報」2022年11月号掲載、協力/空知信用金庫