米国のオフィスビル需要を長年押し上げてきたハイテク大手が一転して、リース契約の打ち切りに動いている。
フェイスブックを運営するメタ・プラットフォームズや配車サービスのリフト、顧客情報管理のセールスフォースといったハイテク大手は、サンフランシスコやシリコンバレー、ニューヨーク、テキサス州オースティンなどでオフィス空間を大きく削っている。ネット小売り大手アマゾン・ドット・コムは7月、新規オフィスビルの建設を中止した。同社は採用を凍結しているほか、数千人規模の削減を視野に入れる。
景気後退の足音が近づく中、こうした企業は人員整理に乗り出しており、不要になったオフィス空間を放出することが喫緊の課題となっている。
商業不動産サービス会社のCBREグループによると、テクノロジー業界がサブリース(転貸)市場に出しているオフィス空間は約3000万平方フィート(約280万平方メートル)にのぼる。これは2019年10-12月期の950万平方フィートからは約3倍の規模だ。
スタンフォード大学のニコラス・ブルーム教授(経済学)は「自宅勤務よりも、規模縮小の方が脅威としては大きい」と話す。