こうなってしまうと、物件を売るだけでは住宅ローンを完済できない。ローン返済用の現金を追加で準備しない限り、銀行に売却が認められないのだ。物件は売主の勝手には売れず、住宅ローンの債権者である銀行が完済を条件にして初めて成立する。

 最も金利が低い変動金利水準でさえそんな状況なので、長期固定金利を選ぶと損をするリスクがもっと高くなる。

「高リスク物件」を見抜く方法を
押さえた上で投資すべし

 こうした悲劇を避けるためにも、地方でマンションを購入する場合は価格下落リスクを把握しておこう。繰り返しになるが、そのための手法は「同じエリアにあるマンションの『平方メートル単価差』を築年数の差で割る」ことだ。

 私がこれまで地方都市の分析をした際の結果からすると、この数値はおおむね3%前後になる。先ほどの元本返済の2.6%を上回っているので、危険な水準である。

 今後相場が上昇しない限り、地方都市でマンションを安易に購入すると、利益が出ないどころか売るに売れなくなるのが現実だ。

 しかし地方都市では、死ぬまで住み続ける前提でマンションを買う人が多いし、戸建ての場合でも売却を前提として購入する人は少数派だ。

 そうした前提であれば、35年かけて住宅ローンを返済すればいいだけのことなので、「売却したら利益が出るか」「資産性は高いのか」といったことを考えず、気に入った物件を手に入れることに集中すべきだろう。