人生100年時代は、健康こそ最大の資産です。
しかし40歳を越えると、がん、糖尿病、腎臓病といった病気を避けては通れません。国立がん研究センターによれば、40~49歳のがん患者数は、30~39歳と比べると3倍以上です(2018年)。もちろん50代、60代と年齢を重ねるにつれ、がん患者数はどんどん増えていきます。
本連載は、毎日の食事から、大病を患ったあとのリハビリまで、病気の「予防」「早期発見」「再発予防」を学ぶものです。著者は、産業医×内科医の森勇磨氏。「予防医学ch/医師監修」の管理人でもあり、動画は「わかりやすい説明で参考になる」「怖いけど面白い」と評判で、チャンネル登録者は27万人を超えています。初の単著『40歳からの予防医学 医者が教える「病気にならない知識と習慣74」』を出版し、感染症医・神戸大学教授の岩田健太郎氏が「安心して読める健康の教科書」と推薦文を寄せています。本日は、インフルエンザと新型コロナの寄稿記事です。

【この冬、発熱したら?】新型コロナとインフルエンザの区別と対策Photo: Adobe Stock

この冬、発熱したらどうする?

 新型コロナウイルスが再度感染流行の様相を呈しており、今年の冬も感染拡大、第8波の到来が予想されています。

 そして今年、加えて懸念されているのが「インフルエンザ」の流行です。

 まず、そもそもなぜ今年に入って急にインフルエンザの流行が予想されているのか、その理由について説明します。

 大きな理由の1つは「南半球でのインフルエンザの流行」です。

 季節が日本と真逆の南半球では、例年7-8月が流行のピークだったにもかかわらず、5-6月にピークを迎え、その後も非常に感染者が多い状態が続きました。実際に地球の裏側ではインフルエンザが流行していたわけです。

 また、新型コロナに抑制され、この2年間インフルエンザの感染者が非常に少ないことから、抗体を獲得していない人が多いのも非常に不安な要素です。

 この状況に海外からの入国の規制緩和や、行動制限の撤廃が加わると、インフルエンザが大流行してしまっても驚きはありません。

新型コロナとインフルエンザの区別は?

 次に、新型コロナとインフルエンザの区別の仕方ですが、「検査をするしかない」というのが正直なところです。

 新型コロナに関して言えば味覚、嗅覚の障害が出るのが特徴ではあるのですが、現状の変異体の感染ではそういった症状が出ないことも多いです。そうなると、熱が出る、喉が痛い、咳鼻水が出る、体の節々が痛い...こういった症状は新型コロナもインフルにも共通して起こりますので、症状だけでの判別は困難です。

 また、意外に知られていませんが、インフルエンザも肺炎を引き起こすことがありますので、高齢者や重症化するリスクのある持病を抱えている方にとっては、どちらも要注意なウイルスであることに変わりはないのです。

 そして残念なことなのですが、インフルエンザは市販の抗原検査のキットの販売が解禁されていません。できればインフルエンザも新型コロナも自宅で検査をして判断して、各々が自宅療養できる環境が整って欲しいと感じています。

 さて、我々がいまやるべきことは次の3つです。

①新型コロナの抗原検査キットの購入(「研究用」ではなく、「体外診断用医薬品」又は「第1類医薬品」のキットを購入しましょう)
②新型コロナ・インフルエンザの予防接種を行う
③手洗い、うがいをよくして、よく寝て、バランスの良い食事をし、免疫機能が低下しないようにする

 ありきたりなこともありますが、基本を忘れがちな人もいるので、何度でも言います。しっかり準備して、万が一感染したときでも、冷静な対応がとれるようになっておきましょう。