日本企業にも“逆張り”のチャンスがある

 課題の多い海外ECだが、日本企業にも福音はある。逆張りの発想になるが、(1)これまでECをまったく強化できていないからこそ伸びしろが大きい、(2)他の小売りと品揃えで差別化を図りたいEC企業は、商品力が高いが市場で存在感の薄い日系ブランドとパートナーを組みたがっているからだ。

 このチャンスを現実のものとするためにも、まずは世界のEC・デジタル化の動向について理解し、自社としての改革プランを早急に固める必要がある。

 本書では、ポストコロナにおいてますますEC・デジタル起点での発想が必要な時代になるという認識のもと、各国・地域でいま何が起こっているのか、EC・デジタルの動向と勝ち方を説明する。

 まずは地殻変動の発信地である中国から始める。中国大手EC企業による世界中での投資合戦によって、今後、中国発のモデルが数年遅れで世界中にインストールされていくだろう。中国でのEC動向は世界の未来像であり、中国市場で勝ち切ってECジャイアントたちとの関係を構築しておくことが、先行投資の意味でも極めて重要となる。それでは、旅を始めよう。