中国の電子商取引(EC)最大手アリババグループ。このアリババグループを猛追している、創業わずか5年余りの中国発ベンチャー「拼多多(ピンドゥオドゥオ)」をご存じだろうか。日本ではまだなじみのないこの企業は、既存のビジネスモデルをうまく「シフト」することで急速な成長を遂げている。(ネットストラテジー代表取締役 平野敦士カール)
最大手・アリババを焦らせる
創業わずか5年余りの新興企業
4月、中国当局は中国の電子商取引(EC)最大手、アリババグループが「自社サイトの出店者が他のプラットフォームに出店するのを禁じた」として28億ドルの罰金を課した。
アリババに関しては、2019年6月には大手電子レンジメーカーであるギャランツグループ(Galanz Group)が、アリババグループが運営するTモール(天猫)以外のECモールに出品したことでアリババから不当な扱いを受けたと公表し、提訴していたことが報道されている。
こうした動きは、拙著『プラットフォーム戦略』(東洋経済新報社)にて、「プラットフォームの横暴」と指摘したものの一つだ。プラットフォームは巨大化してくると、次第に参加企業に対して横暴なふるまいをするようになる。
筆者は、アリババが出店企業に厳しい態度を取る背景には、「アリババの焦り」があったのではないかと考えている。なぜならば、この5年で同社にとって強力なライバルが台頭してきているからだ。