行動制限が解除され、入国制限も大きく緩和されるなど、人々の生活は少しずつ「コロナ前」に戻りつつある。だが、一難去ってまた一難。ビジネスの世界では、円安や資材高が多くの企業を混乱のうずに巻き込んでいる。その状況下で、好決算を記録した企業とそうでない企業の差は何だったのか。上場企業が発表した直近四半期の決算における売上高を前年同期と比べ、各業界の主要企業が置かれた状況を分析した。今回はゼンショーホールディングス、吉野家ホールディングス、松屋フーズホールディングスの「牛丼」業界3社について解説する。(ダイヤモンド編集部 宝金奏恵)
すき家、松屋は好調なのに
吉野家ホールディングスだけ減収
企業の決算データを基に「直近四半期の業績」に焦点を当て、前年同期比で増収率を算出した。今回の対象は以下の牛丼業界3社。対象期間は2022年5~9月の直近四半期(ゼンショーホールディングス、松屋フーズホールディングスは22年7~9月、吉野家ホールディングスは22年6~8月)としている。
各社の増収率は以下の通りだった。
・ゼンショーホールディングス(すき家)
増収率:20.1%(四半期の売上高1973億円)
・吉野家ホールディングス
増収率:9.8%(四半期の売上高415億円)
・松屋フーズホールディングス
増収率:15.5%(四半期の売上高261億円)
牛丼3社全てが増収で、ゼンショーホールディングスは20%超、松屋フーズホールディングスも15%超という大増収だった。一方、吉野家ホールディングスは10%に満たない増収率で、他の2社に比べるとイマイチといったところだ。
牛丼業界で、微妙な差が生まれているのは一体なぜなのか。
次ページでは、各社の増収率の時系列推移を紹介するとともに、詳しく解説する。