マカオのカジノ企業、ついに引いた強い手札Photo:Anthony Kwan/gettyimages

――投資家向けコラム「ハード・オン・ザ・ストリート」

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 新型コロナウイルス大流行の影響で、マカオはこれまで悪い手札ばかりが続き、散々な目に遭ってきた。だが、最新のデッキのシャッフルで、このカジノ中心地はようやく強力なカードを引いた。

 マカオ政府は先週末、現在カジノを運営する6社に、来年1月からの営業ライセンスを交付すると発表した。今後10年間事業を続けることが可能となる。9月にはマレーシアのゲンティン・グループの関連会社が突然ライセンス入札に参加し新規参入を目指したが、土壇場の賭けは結局負けに終わった。ゲンティン・グループにとっては可能性の低い賭けだったものの、既存のカジノ企業は安堵(あんど)のため息をついていることだろう。

 カジノ運営会社の株価は週明けに急騰した。永利澳門(ウィン・マカオ)は24%高、金沙中国(サンズ・チャイナ)は13%高となった。

 ただ、次に何が起きるかを彼らはコントロールできない。来年にかけてのカジノ企業の運命は、中国政府が厳格で不人気なコロナ規制についてどう判断するかにかかっている。中国が11月初めにコロナ対策を微調整したことで、「ゼロコロナ政策」がようやく終わるのではないかとの期待感が高まり、マカオ株はその後、群を抜く上昇率を示している。それでもコロナ前の水準と比べれば、マカオの株価はまだかなり安い。

 中国の観光客は今月からオンラインでビザを入手すれば、再びマカオに行けるようになった。旅行はしやすくなるはずだが、中国本土の感染急拡大(とりわけ隣接する広東省で急増)と全国的なロックダウン(都市封鎖)のため、11月にマカオを訪れた観光客は微増にとどまる。マカオの2022年1~10月のカジノ売上高は2019年同期比で85%減、観光客の数も同程度に落ち込んでいる。