決算報秋:航空Photo:PIXTA

行動制限が解除され、入国制限も大きく緩和されるなど、人々の生活は少しずつ「コロナ前」に戻りつつある。だが、一難去ってまた一難。ビジネスの世界では、円安や資材高が多くの企業を混乱のうずに巻き込んでいる。その状況下で、好決算を記録した企業とそうでない企業の差は何だったのか。上場企業が発表した直近四半期の決算における売上高を前年同期と比べ、各業界の主要企業が置かれた状況を分析した。今回はANAホールディングス、日本航空の「航空」業界2社について解説する。(ダイヤモンド編集部 濵口翔太郎)

数字上は驚異的な増収も
「コロナ大減収」からの復活度は?

 企業の決算データを基に「直近四半期の業績」に焦点を当て、前年同期比で増収率を算出した。今回の対象は以下の航空業界2社。対象期間は2022年5~9月の直近四半期としている(2社とも22年7~9月期)。

 各社の増収率は以下の通りだった。

・ANAホールディングス
 増収率:89.6%(四半期の売上高4403億円)
・日本航空
 増収率:121.8%(四半期の売上収益3496億円)

 航空業界の主要2社は、ANAホールディングスが約9割、日本航空が約2.2倍の大幅増収となった。しかしながら両社の増収は、新型コロナウイルス感染拡大によって大打撃を受け、大幅減収に陥った約2年前からの反動増の一環にすぎない。

 そのため本連載では、航空2社が数字上は驚異的な四半期増収率をたたき出していても、実際の業績はコロナ前の水準に戻っていないことをたびたび指摘してきた。

 両社の業績は21年4~6月期(22年3月期第1四半期)から「6四半期連続」で増収を記録するなど一見好調だが、コロナ前と比べるとどのような水準感なのだろうか――。

 次ページでは、航空2社のコロナショックからの「真の回復度」について、時系列データを踏まえて詳しく解説する。