ANA・JAL 黒字回復後の修羅 #9Photo:PIXTA

ANAホールディングス(HD)と日本航空(JAL)は2023年3月期、いずれも3年ぶりの黒字回復を見込む。しかし、コロナ禍が落ち着いて赤字地獄から脱したとて、安泰なわけではない。ライバル両社は構造改革が至上命令。特集『ANA・JAL 黒字回復後の修羅』(全13回)の#9では、ANAHDとJALを苦しめる足かせとジレンマの正体に迫る。(ダイヤモンド編集部副編集長 臼井真粧美)

コロナ終息後もANAに足かせ
JALはジレンマに陥る

 日系航空の2強であるANAホールディングス(HD)と日本航空(JAL)はそれぞれ、2023年3月期に3年ぶりの黒字転換を見込む。ようやく赤字地獄から脱することになるが、ここから先、単純に新型コロナウイルス感染拡大前の経営に戻れば安泰というわけではない。

 世界では景気後退が迫っている。その影響を受けるのは航空業界に限ったものではないが、とりわけ航空会社は出張やレジャーの需要を左右する景気の影響をもろに受ける。

 このほかにも燃油高や円安、ロシア・ウクライナ問題で飛行ルートを変更していることによるコスト高などのマイナス材料が経営にのしかかる。

 問題はこれで全てではない。ANAHDにはコロナ終息後も取れない足かせが付いている。JALはJALでジレンマに陥る。

 次ページでは、その足かせとジレンマの正体に迫る。