ANA・JAL 黒字回復後の修羅 #11Photo:kyodonews

日系航空の2強であるANAホールディングス(HD)と日本航空(JAL)はずっと犬猿の仲でありながら、2社統合論が付きまとってきた。この統合論を嫌がる2社が最近、度々手を組んでいる。特集『ANA・JAL 黒字回復後の修羅』(全13回)の#11では、ANAHDとJALが手を組む事情を明らかにする。(ダイヤモンド編集部副編集長 臼井真粧美)

JAL破綻やコロナ禍で
浮上したANA・JAL統合論

 日系航空の2強であるANAホールディングス(HD)と日本航空(JAL)はずっと犬猿の仲でありながら、2社の統合論が付きまとってきた。

 十余年前、JALが経営危機に陥ったときは、JALを救済するかたちでの統合シナリオが描かれた。それは実現することなく、JALは破綻して公的支援を受けながら再生の道を進んだ。

 新型コロナウイルス感染拡大で両社共に大赤字に陥ったタイミングで再び統合論が浮上した。しかし、2社それぞれが生き残りを懸けた資金調達やコスト削減を続け、今期は3年ぶりの黒字転換を見込むところまできた。

 リーマンショックだったり、感染症のまん延だったり、両社は10年に1回は大きな危機に陥ることを繰り返してきた。そのたびに国からの資金のサポートだったり、空港使用料や航空機燃料税の減免だったりを受けた。今後も何かあればどちらも守るのはカネがかかるし、世界の市場で戦う競争力を持つためにも1社に集約した方が合理的というのは一理ある。これに対して両社の首脳や幹部は「2社の競争がなくなるのはお客さまのデメリットになる」などと応戦してきた。

 そんな2社が最近、度々手を組むようになった。

 次ページでは、ライバル2社が手を組む事情を明らかにする。