短時間で成果を出している人がいる一方、頑張っているのに成果が出ない人もいる。この違いは何だろう? 経営の最前線で20年以上、成果上げられる人と上げられない人の差を研究してきた人物がいる。
東洋経済オンライン「市場が評価した経営者ランキング2019」第1位、フォーブス アジア「アジアの優良中小企業ベスト200」4度受賞の木下勝寿社長だ。発売前から「やる気に頼らず楽しく続けられる」と話題なのが注目の新刊『時間最短化、成果最大化の法則──1日1話インストールする“できる人”の思考アルゴリズム』。本稿では、本書より一部を抜粋、「最短時間で最大の成果を出す方法」を初公開する。
成長が止まる人と、成長し続ける人の違い
めんどうくさいことをやると決めていても、昇進・昇格すると、
「自分は偉くなったから細かいことはやらなくてもいい」
と思う人たちが実に多い。
そのタイミングで残念ながら彼らの成長は止まってしまう。
成果を上げ続けている人は、細かくてめんどうくさいことをやり続ける。
社長や管理職は「細かいことは一般社員に任せる」と思われているが、大間違い。
「一般社員が見すごしている、細かいことを拾って自ら行う」ことが仕事の大半だ。
実は「細かいこと」「見すごされがちなこと」の代表例が、自社商品や自らの仕事をお客様目線で“常に”見直すということだ。
多くのビジネスパーソンは、「最初」に商品や広告をつくるときは、お客様のことを一生懸命見てつくる。
しかし、次につくるときは、それを端折(はしょ)って「前につくった商品や広告」を見てつくるようになる。
これが繰り返されていくうちに、お客様から離れていくのだ。
だからお客様の支持を得続け、成果を上げ続けるために、「常にお客様目線で見直す」ということが必要なのだ。
成果を出す人は自らこれをやっている。
ユニクロ社長と
ソフトバンク社長の改善指示
ユニクロはテレビでイメージCMを流す一方で、チラシで集客をしていた。
大企業になってからも、チラシの最終チェックは柳井社長自ら行い、「この服の色味がわかりにくい」と指示していたという。
ソフトバンクの孫社長が携帯電話事業に進出する際、最初にやったのが、ソフトバンクの携帯端末の全機種を社長室に集め、自ら操作をチェックすることだった。
「ここの操作がわかりにくい」
と改善を指示したところ、開発者が
「こういう仕様なので仕方ないんです」
と返答した。
しかし孫社長は
「仕様の事情は関係ない。
お客様が使いにくいから絶対に修正しなさい」
と言った。
あるファーストフード企業で、商品企画担当者が「ビッグホットドッグ」をつくったことがあった。
ホットドッグ用のパンに長いソーセージが挟んであった。
見た目のインパクトがあり、自信満々に社長に商品化決裁を迫った。
しかし、当時の社長はそれを食べ、
「ひと口目でパンに届かない」
と言った。
商品開発者が
「インパクトを重視して、これだけ長くすると仕方ないんです」
と言うと、
「ホットドッグはパンとソーセージが同時に口に入ってくるからこそおいしいのだ」
と改善を指示した。
おそらく一般の消費者でも同じことを言っただろう。
ところが、目の前の仕事に追われていると、お客様目線に気づけなくなってしまうのだ。
(本稿は『時間最短化、成果最大化の法則』の一部を抜粋・編集したものです)