PHOTO: KENNY WASSUS/THE WALL STREET JOURNAL
経営破綻した暗号資産(仮想通貨)交換業者FTXの創業者、サム・バンクマンフリード氏は、業界内の起業家とは常に一線を画していた。それは同氏のぶかぶかの半ズボンや好みのビデオゲーム作品が理由ではなかった。
バンクマンフリード氏もワシントンの政策担当者との会合でおそらく言及していたように、両親がいずれもスタンフォード大学法科大学院の教授だったからだ。バンクマンフリード氏が仮想通貨の帝国を築き上げる上で、両親の地位が息子のバンクマンフリード氏にいわば「お墨付き」を与えていた。たとえ、この業界にほとんど価値を見いださないであろう向きにとってもだ。
FTXは先月、顧客資金を系列のトレーディング会社につぎ込んでいたことが発覚し、経営破綻に追い込まれた。FTXは現在、破産法の管理下にある。規制当局や検察はこの問題を調査中だ。顧客は自分の資金が戻ってくる可能性があるのかすら分からない状況に置かれている。父ジョゼフ・バンクマン氏と母バーバラ・フリード氏は、法務顧問として、息子バンクマンフリード氏のそばにとどまっている。内情を知るある関係者が明らかにした。だが、苦境に陥っている息子の両親としての役割の方が大きいという。
FTXが破綻する前、父バンクマン氏は1年ほど、同社の社員として給与を受け取っていた。ワシントンの政策担当者との会合にも同席。同社の慈善活動を拡大し、息子を少なくとも主要投資家の一人と引き合わせた。FTXの拠点であるバハマに夫妻が息子をたずねる際は、FTXが宿泊先を用意していた。
FTXの危機が深まる中、夫妻はここ1カ月余り、息子とバハマに滞在している。友人らに対しては、息子の訴訟費用で財産をすべて失うだろうと話している。