3 自分で決めて「自分の人生」を生きる
親の言うとおりに生きる。他人の顔色をうかがう。他人と比較する。他人と同じことをしないと安心できない……。
これらは、すべて「他人の人生」を生きることです。アドラー心理学では、「他人の人生」を生きることは、最悪の生き方だと言っています。
「やりたいこと」「進みたい道」など、重要な決断のときに他人に頼ると、その瞬間はラクですが、必ず後悔します。なぜなら、あなたの「本心」とは違うからです。
あなたは、「自分の人生」を生きるべきです。といっても、決して難しいことではありません。ちょっとしたことでも「自分で決める」クセをつければいいのです。普段から「考える時間」「相談相手」「ノート、メモなどのツール」を持ちましょう。そして、自分の考えや気持ちを言葉や文章で伝える習慣、アウトプットの習慣を作るのです。
アウトプット力を鍛えることで、自分の人生を生きられるようになります。
4「自分」を大切にして生きる
自分を大切にし、家族を大切にし、その上で仕事を一生懸命頑張る。その優先順位が大切です。
私は3年間のアメリカ留学で、このことに気づきました。
私の周りのアメリカ人に、仕事のために「自分」や「家族と過ごす時間」を犠牲にする人はほとんどいませんでした。自分を犠牲に、家族との時間を犠牲にして、仕事を必死に頑張ることほど本末転倒なことはありません。
その結果、心や体の病気になったり、家族コミュニケーションにひびが入り、離婚や親子の断絶が起こるからです。どれだけ仕事で成功しても、「病気」になったり、「家族崩壊」を起こしては意味がないのです。
「自分を大切にする」というのは、「自分の健康を大切にする」ということでもあります。本書で紹介した「7時間以上の睡眠」「週150分以上の運動」「朝散歩」は、徹底して行いましょう。そのシンプルな行いが、「人生を幸せに生きる法則」なのです。
5 自分から心を開き「相談」をする
先ほどの「自分で決めて自分の人生を生きる」というのは、人に逆らい、人を無視して、孤独に生きることではありません。
他人の意見を聞きながら、最後は自分で決めるという順番を守ることが大事です。人に相談する、第三者の意見を参考にすることで、より正しい判断、決断ができるのです。
私の元には、家族や友人、医者など、「他人に相談できません」という悩みがたくさん届きます。しかし、いきなり100%の信頼関係がはじまることはありえません。まずは自分から心を開き、少しずつ関係を深めていくしかありません。
また、メンタルや健康に関する悩みは、しかるべき専門家に相談することです。医者に対しても同じです。主治医を信頼し、心を開いて相談することで、初めて回復に向かいます。心から信頼する人に相談する。それだけで、世の中の悩み、不安の9割は解決します。
6 必ず「動きながら」考える
冒頭でも述べたように、観念的な生き方や哲学的な生き方、スピリチュアル的な生き方をいくら知っても、「じゃあ、具体的に何をしたらいいの?」という疑問は取れません。
不安や悩みを抱えている人は、止まったまま考えているのです。ひたすら考えて、悩み、前に進めなくなる。状況は悪化し、さらに悩みは膨らみます。
大事なのは、ToDoを見つけて「動きながら考える」ということです。とりあえずやってみる。小さな行動からで大丈夫です。いきなり大きなことをやろうとすると、うまくいきません。
「天職」も「人生の意味」も、振り返ってみて後からわかることです。
最初から大きな目標を立てたり、人生の大きな決断をたやすくできる人なんて、この世にいません。成功者ほど、誰にも見せない「小さな行動」を積み上げているものです。
7 毎日を「ポジティブ」に締めくくる
「仕事が忙しくて死にそう。自分は不幸だ」
そう思っている状態でも、見方を変えれば「幸せ」に見えます。
まず、「病気ではない」ですし、「給料をもらえる状態」です。あるいは、家に帰れば家事をやってもらえている状況かもしれません。
病気の人、仕事がない人から見れば、こんなに幸せなことはありません。
どんな人でも、1日の中で必ず「楽しいこと」や「よかったこと」があり、「つらいこと」や「苦しいこと」があります。問題は、どちらにフォーカスするかです。大成功して大金持ちになったとしても、「ネガティブな出来事」にばかり注目していては、幸せにはなれません。
1日の最後に、「楽しいこと」「よかったこと」に注目できる人が、「楽しい人生」「幸せな人生」をおくることができるのです。
本書で紹介している、寝る前の「3行ホジティブ日記」の習慣で、必ず1日をポジティブに締めくくってください。それだけで、誰でも幸せになれます。簡単に今日から幸せになれるのです。これを1ヵ月以上実行した人で、「何の効果もなかった」という人を見たことがありません。
以上の「7つのエッセンス」を覚えておいていただき、悩んだとき、困ったときに実行してみてください。「あなたの生き方」を発見する指針、「宝の地図」になるはずです。
「最高の1年」にしよう
世の中は、「死ぬ気でやれ」という努力論を平気で語る本で溢れかえっています。死ぬ気でやって追い詰められて、うつ病になった人を、私は何人も見てきました。
幸福の基盤は、不安や悩みのないストレスフリーな状態でいることです。つまり、心身の健康です。心と体の健康なしに、いくらお金を稼いでも無意味です。
「心と体の健康」を突き詰めることと、「幸せに生きること」「社会的な成功を得ること」は矛盾しない。いや、「心と体の健康」を基盤にするからこそ、「幸せ」や「社会的成功」を得やすくなるのです。
悩みや不安が少しでも軽減し、「健康」と「幸せ」を両立できる1年にしていきましょう。
精神科医、作家
1965年、札幌生まれ。1991年、札幌医科大学医学部卒。2004年からシカゴのイリノイ大学に3年間留学。帰国後、樺沢心理学研究所を設立。「情報発信を通してメンタル疾患、自殺を予防する」をビジョンとし、YouTubeチャンネル「樺沢紫苑の樺チャンネル」やメルマガで累計50万人以上に精神医学や心理学、脳科学の知識・情報をわかりやすく伝える、「日本一アウトプットする精神科医」として活動している。
コロナ禍に27万部のベストセラーとなった著書『精神科医が教える ストレスフリー超大全』(ダイヤモンド社)のほか、シリーズ90万部の大ベストセラーとなった著書『学びを結果に変えるアウトプット大全』(サンクチュアリ出版)など30冊以上の著書がある。