冷え、だるさ、むくみ、疲れ、肩コリ、腰痛、便秘、不眠といった、なんとなくの不調。『すごい自力整体』の著者・矢上真理恵さんは、「不調のほとんどは自力整体で解消できる」と語る。「自力整体」とは、人の手を借りずに、「整体施術のプロの技法」を自分におこなえるメソッド。
肥満やメタボの解消を目的とする実践者も多く、「ゆるめるだけで自然にやせる」のも人気の秘訣。現在、若い世代から高齢の方まで約15000人が実践している。東洋医学をベースにしながら効率的に問題解決するのも人気の秘訣。なぜ「自力整体」はいいのか?(構成/依田則子 撮影/榊智朗)
監修:矢上 裕 矢上予防医学研究所所長、自力整体考案者、鍼灸師・整体治療家
健康的なダイエットに欠かせない「熟睡」と「排泄力」
――矢上さんの著書『すごい自力整体』には、「自力整体」で痛みや不調を改善しながら健康的にスリムになられた方々の体験談やその方法も掲載されていました。
矢上真理恵(以下「矢上」):そうですね、「気づいたら健康的にやせていた」というお声はよく聞きます。ダイエットが後からついてきた、という感覚だと思います。
――なぜ「自力整体」は健康的にダイエットできるのでしょうか?
矢上:理由は2つあります。
1つ目は、しっかり熟睡できること。
夜「自力整体」をおこなうと、全身がゆるんで脱力できるんです。すると副交感神経が優位になり眠りの質が良くなる。熟睡すると消化吸収・代謝・排泄機能も向上するため、健康的にダイエットできるのかなと思います。
2つ目は、排泄力が高まることです。
東洋医学をベースとした「自力整体」では、「内臓疲労」もコリや痛みの原因と考え、内臓を休ませる「整食法」を推奨しています。この食事法が朝の排泄力を高めてくれるんです。
――本のご執筆にあたり、「自力整体」でダイエット体験者を募集されたそうですね。ほとんどの方が不調を克服しながら、同時に10キロ前後減量され驚きました。
矢上:8名のダイエット体験者さんには、「自力整体」を3ヵ月間実施していただきました。おもな内容は、本で紹介した「20分間ショートレッスン」と「整食法」です。夕食はなるべく就寝3時間前に終わらせ、動画を見ながらショートレッスンをおこない、朝は固形物を控え水分かスープ、またはお粥などを食べ、なるべく胃腸を休ませる時間を長くしました。この一連の方法が、健康的なダイエットに欠かせない「熟睡」「排泄力」に役立ったといえます。
――とくに印象に残る体験者さんはいらっしゃいますか?
矢上:8.7キロの減量に成功されたUさん(女性・58歳)の変化には驚きました。「自力整体」をはじめる前は、身長156センチで体重59キロと、標準体重より多めでした。Uさんはもともと骨盤にひどいゆがみがあり、循環が悪いせいか不調の嵐でした。さらに30代から体重は増え、ダイエットはリバウンドの繰り返し、運動をすれば体を痛め、途方にくれていたところ「自力整体」に出合い、3ヵ月後、8.7キロの減量に成功されたのです。骨盤のゆがみによりアンバランスだったヒザの位置も元に戻り、ヒザ痛も改善されました。
――「骨盤にひどいゆがみ」のあるUさんは、他の方とは違う「自力整体」のワークをおこなったのでしょうか?
矢上:他の体験者さんと同じ内容です。「20分間ショートレッスン」は私たちの体のベースとなる骨盤をメインにほぐして整えるワークですから、骨盤が元の位置に戻ったことで、いい流れを取り戻したのでしょう。もちろんUさんには「整食法」もやれる範囲でおこなっていただきました。それまで下剤に頼っていたガンコな便秘も解消されたそうです。
――Uさんの体の中で滞っていた流れが、いっきに解放されたイメージですね。
矢上:まさにそんなイメージです。さらに、35度台だった低めの体温も、36度台になって、冷え性も改善されました。顔色もパッと明るくなって、まるで別人に。手放せなかった皮膚科の薬、胃腸薬、点鼻薬も必要なくなったそうです。
矢上予防医学研究所ディレクター
1984年、兵庫県生まれ。高校卒業後単身渡米、芸術大学プラット・インスティテュートで衣装デザインを学び、ニューヨークにて独立。成功を夢見みて、徹夜は当たり前、寝るのはソファの上といった多忙な生活を続けた結果、心身のバランスをくずし動けなくなる。そのとき、父・矢上裕が考案し1万5000名が実践している「自力整体」を本格的に学び、心身の健康を取り戻し、その魅力を再発見。その後、自力整体ナビゲーターとして、カナダ、ヨーロッパ各地、イスラエルにて、クラスとワークショップを開催。さらに英国の名門セントラル・セント・マーチンズ大学院で「身体」をより体系的に学び、2019年に帰国。現在、国内外の人たちに自力整体を伝えながら、女性のための予防医学をライフワークにしている。 写真/榊智朗
監修者:矢上 裕(やがみ・ゆう)
矢上予防医学研究所所長、自力整体考案者、鍼灸師・整体治療家
1953年、鹿児島県生まれ。関西学院大学在学中の2年生のとき、予防医学の重要性に目覚め、東洋医学を学ぶため大学を中退。鍼灸師・整体治療家として活躍するかたわら、効果の高い施術を自分でできるように研究・改良を重ね「自力整体」を完成。兵庫県西宮市で教室を開講、書籍の出版やメディア出演などで注目され、全国から不調を抱える人々が続々と訪れるようになる。現在約500名の指導者のもと、約1万5000名が学んでいる。著書に『DVDで覚える自力整体』『DVD3分から始める 症状別 はじめての自力整体』(ともに新星出版社)など多数。遠隔地の人のために、オンライン授業と通信教育もおこなう。