宝飾事業大手のナガホリ(東証スタンダード上場)に対し、筆頭株主のリ・ジェネレーションが業績低迷などを理由に全取締役6人の解任を求め、臨時株主総会の招集請求を行った。だが、これをナガホリが拒否し、株主側が東京地方裁判所に招集許可を申し立てるなど泥沼化している。渦中の長堀慶太・ナガホリ社長が初めてダイヤモンド編集部のインタビューに応じ、リ・ジェネレーションは「地上げ屋」ら複数の株主と連動して会社の乗っ取りをたくらんでいると主張した。(ダイヤモンド編集部副編集長 重石岳史)
臨時株主総会の招集請求は「権利の乱用」だ!
保身、隠蔽体質と指摘されたナガホリ社長が反論
――筆頭株主のリ・ジェネレーションによる臨時株主総会の招集請求に対し、ナガホリは12月8日に「手続きを行わない」と拒否しました。しかし招集請求は会社法に定められた株主の権利です。それを拒否する根拠は何ですか。
確かに持ち株比率や保有期間など、リ・ジェネレーションが株主として総会を招集する形式的な要件はそろっています。しかし彼らは当社の事業を十分に把握しておらず、主張も的を射ていない。さらに代表である尾端友成氏の経歴等を勘案するに、請求は「権利の乱用」に当たると取締役会で判断し、総会招集を断りました。
――尾端氏に対し、会社側はこれまでもリリースで「真摯(しんし)に会社経営を行う者ではない」とか、「経営支配権を奪取するか圧力をかけて、その意に従わせることが目的と疑わざるを得ない」などと強く口撃していますが、そもそもリ・ジェネレーションとはどういった会社なのでしょうか。
それについてはさかのぼって経緯を話す必要があります。
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リ・ジェネレーションが臨時株主総会を招集する理由に挙げるのは以下の4点だ。
(1)コロナ禍以前から長らく業績が低迷し、現経営陣の経営努力による株価の上昇が一切見込めない。
(2)社員の約6割が女性で、女性目線での商品開発や販路の拡大を目指さなければならないのに、女性役員を積極登用する機運がない。
(3)今年6月の定時株主総会で導入した買収防衛策は経営陣の保身にすぎず、企業価値向上の抑制につながる。
(4)ナガホリ子会社の仲庭時計店で従業員による窃盗や横領を隠蔽(いんぺい)し、仲庭時計店の役員を兼務していた長堀氏らの善管注意義務違反が疑われる。
これら四つの指摘に対し、長堀社長が次ページから反論。さらには株主側こそが規制を潜脱し、会社乗っ取りを仕掛けていると主張する。ナガホリが扱うジュエリーの輝きの裏で進行中の、壮絶な“血みどろ”攻防戦を明らかにする。