オンラインゲームの利益を還元するとうたい、出資金を募る「マルチ商法」にだまされたとして、被害者らが全国初の被害連絡会を近く立ち上げることが分かった。連絡会の弁護士によれば、被害者は最大1万人に上るとされる。YahooやAmazonなどの有名サイトの名前を出しながら、巧みに金を集める手口の詳細が明らかになった。(ダイヤモンド編集部副編集長 重石岳史)
オンラインゲーム配信で売り上げ1000億円?!
アクセンチュア出身?の男性がトンデモもうけ話
「1年後にはユーザーは確実に1000万人に達し、それに応じて利益も莫大に増えていく」「ポータルサイトの売り上げは2年後に100億円、5年後に1000億円を目指す」
2012年3月、都内在住の三井美恵子さん(仮名、50代)は知人の紹介である会社を訪ね、取締役の男性らからそんな説明を受けた。男性らは、アクセンチュアや日本エンタープライズ出身を名乗ったという。
その会社は、e-World Capital Partners Japan(EWCP)といい、ポータルサイトの運営などを手掛けているとのことだった。そして男性は、以下のような説明を三井さんに行った。
・EWCPはゲームコンテンツを作成しており、これに出資する人を探している。
・「モバゲー」や「グリー」の例の通り、ゲーム業界は極めて有望である。
・Yahoo!やAmazonのウェブサイトを融合させたようなポータルサイトに進化させ、全世界で10億人の利用者の獲得を目指す。
ディー・エヌ・エー(DeNA)やグリーが運営するソーシャルゲームは当時最高益を更新し、急速に市場が拡大していた。男性らの説明によれば、EWCPは「りらっつ」なるポータルサイトを開発し、スマートフォン向けのゲームアプリを配信。会員になれば、そのゲームの月額利用料や広告などの利益を原資に配当されるという。
5年で1000億円もの売り上げが見込めるのであれば、会員からわざわざ出資を募る必要はないのではないか――。三井さんが当然のように抱いた疑問に対し、男性らは次のように答えたという。