宝飾事業を手掛ける「ナガホリ」の株価が今年に入って急騰している。背景にあるのが、複数の新たな大株主の登場だ。だが、一部の市場関係者からは、株主間で連携した買い占めではないかとの声も上がっており、今後の動きが注目される。(東京経済東京本部長 井出豪彦)

敵対的TOBの面倒が不要な
ウルフパック戦術

ナガホリの本社ビルナガホリの本社ビル 撮影:東京経済

 宝飾事業を手掛ける「ナガホリ」(東京都台東区、東証スタンダード上場)の株価が今年に入って急騰している。業績がさえず、もともと200円辺りをうろちょろしていたのが、足元は1000円に達している。背景には複数の新たな大株主の登場がある。

 そのうち、布山高士氏(「NC MAX WORLD」という中央区銀座にある不動産会社の代表、4月提出の大量保有報告書で8.99%保有)は保有目的を「純投資」と開示している。

 だが、「リ・ジェネレーション」という港区芝の「物品の販売」を行う会社(同月提出の大量保有報告書で9.96%保有)は保有目的を「重要提案行為等を行うこと」と明示しており、ナガホリの経営陣は身構えざるを得ない。

 また8月に入ると新たに「マイルストーンマネジメント」(板橋区)という5月に設立されたばかりの会社が「最大で25%の株式を取得する意向がある」と伝えてきた。

 最近、複数の投資家が一見バラバラに市場で株式を買い進め、そのうちの1人が臨時株主総会の招集を請求して株主提案すると、分散取得株主が足並みをそろえてその提案に賛成し、一気に会社の経営権を奪取するケースが目立つようになってきた。

 この手法であれば敵対的TOB(株式公開買い付け)のような面倒が不要だ。第2次大戦時のドイツ軍の作戦になぞられて「ウルフパック(群狼)戦術」というらしい。法律スレスレだが、本当に買い占め株主間で連携していないのかがポイントになる。