駅のホームに立つ足元写真はイメージです Photo:PIXTA

大きなストレスを抱えがちなミドル世代が、メンタルへルス不調や自殺を防ぐためには、どうすればよいのだろうか。ビジネスパーソンの心身の健康に長年携わってきた専門家が、誰でも今すぐできる予防策を紹介する。(エムステージ 歌代 敦)

仕事が動機の40代自殺者が増加

 2022年10月に厚生労働省が公表した「令和4年版 過労死等防止対策白書」によると、日本の自殺者数は1998年以降、14年間連続して3万人を超えていたが、2010年以降は減少傾向であり、21年は2万1007人と前年比74人の減少となった。

 自殺者の総数が減少する一方で、勤務問題を原因・動機の1つとする自殺者の割合は増加傾向にある。21年は1935人と前年比17人の増加となり、全体の9.2%。自殺者の約1割が、仕事による問題で命を絶っていることになる。

 勤務問題の内容を詳細別に見ると、「仕事疲れ」(28.3%)、「職場の人間関係」(24.6%)、「仕事の失敗」(17.0%)、「職場環境の変化」(14.0%)の順となっている。

 年齢層別では、「40~49歳」(25.9%)、「50~59歳」(21.7%)、「20~29歳」(20.8%)、「30~39歳」(20.7%)で、40代が最も多い。

 近頃はコロナ禍による不安定な社会情勢や生活環境の変化により、若年層の自殺や女性のメンタルヘルス問題に注目が集まっている。しかし、勤務問題による自殺に関して言えば、大きな問題を抱えているのは40代を中心としたミドル世代なのだ。