トラック運送業界の時間外労働賃金の割り増しをめぐる「2023年問題」が4カ月後に迫りつつある。2023年4月から、中小企業でも月60時間を超える時間外労働の割増賃金率が引き上げられ、コスト圧力が強まることが予想される。ドライバーの時間外労働に関する罰則付きの上限規制が始まる「2024年問題」に先行し、コスト上昇で利益が圧迫され、事業者がふるいにかけられる可能性もある。(カーゴニュース)
月60時間超えると割増賃金率が5割に
物流関係者が注目するトラックの「2024年問題」――。働き方改革関連法に基づき、トラックドライバーを含む自動車運転職に関しては、「年960時間」の時間外労働の上限規制が24年4月から罰則付きで適用されることとなっている。実施まで1年半を切ったが、より間近に迫っているのが、「2023年問題」だ。
具体的には、23年4月から中小企業に対しても月60時間を超える時間外労働の割増賃金率が25%から50%に引き上げられる。月60時間を超える時間外労働を深夜(22時~5時)の時間帯に行わせる場合、深夜割増賃金率25%に時間外割増賃金率50%を加えた75%となり、深夜の時間外労働は大幅なコスト上昇になる。
月60時間の時間外労働時間の算定には、法定休日に行った労働時間は含まれないが、それ以外の休日に行った労働時間は含まれる。月60時間を超える法定時間外労働を行った労働者の健康確保のため、引き上げ分の割増賃金の支払の代わりに有給の休暇(代替休暇)を付与することも可能だが、人手の補充も課題となる。