生産労働者(製造業)の時間当たり労働費用をアメリカを100として指数化すると(2009年)、日本は90.6、英国91.8、ドイツ138.7、フランス119.5となるが、新興国となると模様が一変する。中国のデータはないが、台湾23.1、韓国42.4、シンガポール52.2、フィリピン4.5、ブラジル24.8、メキシコ16.1といった具合である。

 これだけ大きな労働費用の格差は、到底、為替では調整しきれない。これが、世界の製造業が軸足を徐々に新興国に移していく根本の理由であろう。理屈で考えれば、先進国と新興国の労働費用が交差するまで、空洞化は止まらないということである。そうであれば、狼少年的に、いたずらに製造業の就業者数の減少を嘆くのではなく、製造業が元気なうちに、新しい産業を次々と生み出すべく、官民あげて努力を傾けなければならないとうことになる。

有効求人倍率も改善

 同じく2月1日、厚生労働省が、ハローワークにおける求人等の状況を取りまとめた一般職業紹介状況を公表した。これによると、2012年の有効求人倍率は0.80倍と、対前年比では0.15ポイントも改善した。底をつけた2009年の0.47倍から3年連続の改善である。因みに、ここ10年来のピークは、2006年の1.06倍であったが、80年代の単純平均が0.76倍、90年代が0.83倍、2000年代が0.76倍であることを考え合わせれば、2012年の0.80倍という水準は決して低いものではあるまい。

 また、新規求人倍率(新規求人数÷新規求職申込件数)も1.28倍と、これまた3年連続の改善となった。わが国の雇用状況は、まだ薄日がさしてきた段階ではあるにせよ、好転の報告に向かっていることだけは確かなようである。幸いにも(当然と言うべきか)、アベノミクスの第1の矢(金融緩和)と第2の矢(財政出動)が、一先ず効いて、景況感はまずまずの状況にある。これまでみてきたように、雇用情勢も決して悪くはない。この貴重な時間を無駄にすることなく、思いきった規制緩和を図る等、実体経済を浮揚させる適切な第3の矢を、的に正対して過たず放ってほしいものである。

(文中、意見に係る部分は、筆者の個人的見解である)