胸郭周辺をほぐすオススメワーク

――寒くて布団から抜け出せない朝も役立ちそうですね。

矢上:そうですね! 余計なリキみも抜けるから、日中ラクに過ごせますよ。

【整体のプロが教える】「冷たくて、硬い体」の人は要注意! みるみるラクになる“超・脱力法”

――『すごい自力整体』には、他にもシンプルで簡単な脱力法がいくつも紹介されていますね。

矢上:つらい痛みやコリのような不快な症状って、だれもが今すぐ取り除きたいものだと思うんです。ですから、「自力整体」のワークは、シンプルであることが最優先。そこを大事にしています。

――私は猫背によるコリがひどいので、とくに『すごい自力整体』の胸郭をほぐすワークはたいへん役立ちました。

矢上:ありがとうございます。猫背などで上半身がつねに緊張していると、「気が上に上がっている」状態にもなりやすいので、対処法を知っていると安心ですよ。

――「気が上に上がる」とは、どんなイメージでしょうか。

矢上:呼吸が浅くなったり、話し方が速くなったり、イライラしたり、落ち着きがなくなったりと、体が不自然で苦しい状態です。東洋医学では、その反対の健康体を表わす理想の状態を「上虚下実(じょうきょかじつ)」と言います。

上虚…体の上側である頭、目、耳、鼻、口、肩、首、胸まわりには余計な力が入らず柔らかい。
下実…体の下側である足腰はしっかり大地に立ち、重心が安定している状態。

 しかし、現代の私たちは、スマホやデスクワークで目を酷使したり、歯を食いしばったり歯ぎしりしたり、猫背によって足腰は安定せず、足は座りっぱなしで筋力低下。上虚下実とはかけ離れた状態です。

――上半身に力が入っていないか? 緊張していないか? と気づけない人もいると思いますが、どんな症状がわかりやすいでしょうか?

矢上:自覚症状としては、肩や背中が凝っていたり、極端な例だと、いかり肩・首の詰まり・目の疲れ・呼吸が浅いなどでしょうか。

――そういえば『すごい自力整体』に掲載されている五十肩を解消された女性の体験談が印象的でした。

矢上:私も予想以上のすごい結果に驚きました。本の執筆にあたり、3ヵ月間「自力整体」を体験していただける方を募集したのですが、その女性(51歳)は、スタート時点では肩まわりや眼筋がつねに緊張し、さらに五十肩で腕は痛くて上がらない状態でしたが毎晩、『すごい自力整体』で紹介した「20分間ショートレッスン」で体をほぐしていただいた結果、3ヵ月後、首や肩の筋肉がほぐれ、痛かった腕も伸ばせるようになり五十肩は改善、上半身の動きもスムーズになりました。

 同時に、目の筋肉もほぐれて、コンタクトの度数も下がり視力も改善傾向にあるそうです。7.2キロのダイエットにも成功したんですよ。

――掲載のお写真は、とくに首がスッキリ伸びて、別人のようでした。本には、肩コリ、腰痛、ひざ痛など、あらゆる痛みや不調を解消するワークも紹介されています。とくに胸郭周辺をほぐす動きは、肩コリや背中のハリの解消に役立ちました。

矢上:それはよかったです! 胸郭周辺が硬く縮こまると、横隔膜が動きづらくなって呼吸も浅くなります。血行不良のほか、酸素不足になって身体機能も低下するため、胸郭周辺は、ほぐしておきたい場所です。

――今すぐ簡単にできる、胸郭周辺をほぐす動きはありますか?

矢上:これは、コリや猫背の解消にも役立つ、簡単な動きです。

1. 壁に背を向けて立ち、ゆっくりバンザイをして、両手がどこまで上がるか確認をします。
2. 背中は壁につけたまま、両手をおろし、肩の力を抜きます。
3. 両手をおろしたまま、ポンポンポンと、かかとと肩をゆっくり上げ下げします。30回くらいを目安に、ゆっくり続けましょう。
4. もう一度、ゆっくりバンザイをして、変化を確認します(★手の甲が壁に少しでも近づいたら、胸郭がほぐれている証拠です!)

――猫背で下がっていた胸郭がすこしアップしたような感覚ですし、背筋の伸びを感じます。

矢上:それは良かったです! こんな感じで「自力整体」の動きをいくつか知っていると、ちょっとした痛みやコリの解消に役立ちますよ。

【次回に続く】

『すごい自力整体』では、この他にも、整体プロの技法を使って、コリや痛み、ゆがみを解消するワークを多数掲載しています。(★一部動画でもご視聴いただけます)