行動制限が解除され、入国制限も大きく緩和されるなど、人々の生活は少しずつ「コロナ前」に戻りつつある。だが、一難去ってまた一難。ビジネスの世界では、円安や資材高が多くの企業を混乱のうずに巻き込んでいる。その状況下で、好決算を記録した企業とそうでない企業の差は何だったのか。上場企業が発表した直近四半期の決算における売上高を前年同期と比べ、各業界の主要企業が置かれた状況を分析した。今回はJR東海、JR東日本、JR西日本の「鉄道」業界3社について解説する。(ダイヤモンド編集部 宝金奏恵)
JR3社は前年同期比で増収
コロナ禍からの回復はいかに
企業の決算データを基に「直近四半期の業績」に焦点を当て、前年同期比で増収率を算出した。今回の対象は以下の鉄道(JR)業界3社。対象期間は22年5~9月期の四半期(3社の対象期間はいずれも22年7~9月期)としている。
各社の増収率は以下の通りだった。
・JR東海
増収率:57.4%(四半期の売上高3248億円)
・JR東日本
増収率:25.4%(四半期の売上高5575億円)
・JR西日本
増収率:36.1%(四半期の売上高3196億円)
JR3社全てが2桁超えの増収を記録した。中でもJR東海が6割弱の大増収となった。
鉄道業界は、新型コロナウイルスの感染拡大による行動制限の影響を受けて、大きな打撃を受けてきた。しかし、行動制限の緩和により鉄道需要も戻ってきて、各社の業績が回復基調にある。利益面を見ても、3社そろって第2四半期として3期ぶりに、各利益指標の黒字転換を果たした。
では、コロナ前と比べたときの回復度はどれほどなのだろうか。次ページでは各社の増収率の推移を紹介するとともに、コロナ前との比較を解説する。